リーダーの「ひとこと」が職場を変える:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
リーダーがつぶやく言葉にはパワーがある。職場のポテンシャルを引き出す戦略的なひとこととは?
「辞めたくなったら、いつでも辞めてもいいよ」、これが社長の口ぐせですが、それでも社員は退職しません。
つまり、ネガティブなことは職場にはたくさんありますが、本当の問題は限られており、必要以上に問題を増やさない冷静さも大事です。
ひとこと4:「差し支えなければ、教えてもらってもいい?」
ここで大事なことは、リーダーが部下に尋ねる際、いかにして本音を引き出せるかです。部下に「大丈夫?」と聞いて、「はい、大丈夫です」をうのみにしてはいけません。弱みを見せたくない人も少なくないからです。こう聞くとよいでしょう。
「差支えなければ、教えてもらってもいい?」と。まず、「はい」となります。すると、自然な流れで本心を聞き出せます。
「差し支えなければ、教えてもらってもいいかな?」
「はい」
「顔色がさえないようけど、夜はぐっすり眠れている?」
聞きにくい質問にこそ、本心が隠れていることも多いので、実践してみることをお勧めします。
ひとこと5:「○○さん、おはよう!」
リーダーから、名前を呼ばれるとうれしいものです。例えば、あいさつ。
「山田さん、おはようございます。」
「高橋さん、今日もお疲れさま」
名前があるだけで、何気ないあいさつも「うれしい瞬間」に変わるものです。職場の雰囲気もよくなるので、おろそかにはできません。
これが上手なのは、笑福亭鶴瓶さん。相手が誰であろうと、一瞬にして距離を縮めるコミュニケーションは、もはや名人芸です。ふと、鶴瓶さんが対談中に相手の名前を呼ぶ回数が気になったので、数えてみました。なんと、冒頭の3分で、9回。マツコ・デラックスさんとの対談で、「マツコ」と呼んだ回数です。
「マツコが、今来ましたね。マツコ入ります、まさに今、マツコが入りますよ。」
「ところで、マツコはどうなの?」
「せんど(何度も)言っているマツコ見て、おかしかったわ」
「もし、マツコが出てくれたら」
対談が始まってからの名前を呼ぶ頻度。想像以上の多さでした。
職場での実践としては、話を切り替える際に名前を添えるといいでしょう。
「ところで○○さんは、そのことについて、どのように……」
「なるほど。ということは、○○さん。この件については……」
「やっぱりそうでしたか。その時、○○さんは……」
リーダーが、この技を会得すれば名前を呼ぶ頻度は確実に増え、職場に活気が出てきます。
ひとこと6:「そのスタンス、最高!」
あなたにも経験はないでしょうか。リーダーに褒められ、それが大きな励みになった経験が。実は、上手な褒め方には共通点があるのに気付いていますか。「出来事ではなく、スタンス、能力(内面)を褒めている」ということです。
「頑張った」ことに対して、「頑張ったね」と褒めているなら、それは出来事を褒めているにすぎません。褒めるべきは、頑張ったスタンス(内面)です。
「よく頑張ったね。忙しい中、納期より早く仕上げる、その姿勢は最高! ありがとう。」
いかがでしょう。同じ褒めるシーンでも、与える効果は大きく変わります。
そのために、日頃から取り組んでほしいことがあります。「観察」です。リップサービスで褒めることは避けねばなりません。かえって「バカにしているのか」と思われかねません。
事実をしっかりと把握しておくことが重要です。
まとめ
今回は、リーダーが職場で使いたいひとことを紹介しました。案外、何気なくリーダーが発するひとことに職場は影響を受けるものです。ぜひ、1つでもいいので試してみてください。ほんの少しでも職場をポジティブな方向に導ければ幸いです。
著者プロフィール:伊庭正康
らしさラボ 代表取締役(セールス・セールスリーダー育成トレーナー)。
1991年リクルートグループ入社。営業としては致命的となる人見知りを4万件を超える訪問活動を通じ克服。リクルート社においても珍しいとされるプレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞、累計表彰回数は40 回以上。その後、営業部長、フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。
2011年らしさラボを設立。営業リーダー、営業マンのパフォーマンスを飛躍的に向上させるオリジナルの手法(研修+コーチング)がリーディングカンパニーの目に留まり、年間260回の営業研修、営業リーダー研修、コーチング、講演を行っている。リピート率は91%。
また、ストレスコーピングコーチとして、ビジネスパーソンのメンタルタフネス強化の支援も行っている。近著には、『仕事の速い人の手帳・メモのキホン(すばる舎)』『残業ゼロだからこそ目標達成!!本気でやるチーム時短術(明日香出版社)』『強いチームをつくる!リーダーの心得(明日香出版社)』など多数。その活動は、日本経済新聞、日経ビジネス、など多数のメディアでも紹介される。
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