「立ちすくむ日本」激変する時代のリーダーに必須の教養:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
新たな時代を生き抜くために、日本のリーダーたちに必要な具体的手法をズバリ伝える「エクスポネンシャル思考」とは?
しかも今回はスピードが相当速い。今動くか、動かないかで、この後の階級が決定的に違ってしまうのです。敗者は勝者に貪り食われるだけです。そのポイントにわれわれはいるのです。そして、産業革命に乗れなかった恥辱をそごうとしている国々がこぞって加速しています。
新時代リーダーのための教養「テクノロジー俯瞰力」
テクノロジーの進化は倍々で加速しています。ムーアの法則に代表されるコンピュータの進化もそうですし、テクノロジーを利用したビジネスも飛躍的に加速しています。最先端のスパコンを用いて次世代のスパコンを開発しているのを思い浮かべれば分かりやすい。一番のスパコンを作れなければ、次の世代では差がさらに広がり、取り返せない差になります。
インフラも同じです。技術は深化し、コストは下がります。中国はテクノロジーをフル活用して急速に先進国に追い付き追い越そうとしています。深センではこの10年で10本以上の地下鉄が開業しています。そして、このあと数年で6本開業するとの話です。ものすごいスピードで追い抜こうとしています。もう、傍観者でいては駄目です。日本にいるわれわれも動かなくてはいけません。
このような倍々で進むスピードを表現する言葉が、「エクスポネンシャル」です。エクスポネンシャルとは指数関数的を意味します。エクスポネンシャル思考とは、要するにテクノロジーの進化が倍々で進むことを前提とした思考法です。今回、われわれはいまいち理解されてこなかったエクスポネンシャル思考を日本向けに分かりやすくかみ砕きました。その基本は「テクノロジーを俯瞰する力」にあります。そして、28個のカギとなるエクスポネンシャル・テクノロジーをリストしました。
テクノロジーを俯瞰する力は今後、必須の教養となります。経営学者のコトラー教授によると、企業戦略における外的要因は、PEST、つまりPolitics(政治的要因)、Economy(経済的要因)、Society(社会的要因)、Technology(技術的要因)があります。いま、この中でも特にT:テクノロジーの影響力が圧倒的に大きくなってきています。テクノロジーによって、その他の領域にも大きなしわ寄せが起きており、資本主義や民主主義といった「今まで常識だったもの」まで地殻変動が起きているのです。
テクノロジーを俯瞰する力については、必ずしも技術系の勉強をしてテクノロジーの深いところを知る必要はありません。ディープラーニングがすごいと聞くと、みんなこぞって専用言語Pythonの勉強を始めようとするのもわれわれ日本人の悪いところです。実は、学ぶべきは、ディープラーニングのテクニックではなく、ディープラーニングが社会にもたらすインパクトを正確に理解することなのです。そして、社会課題と技術とが絡み合った時に「社会に何が起きるか」です。その上で、先回りの一手を打つのがわれわれのいう「エクスポネンシャル思考」の基本的な考え方です。
このエクスポネンシャル思考、そしてその根底であるエクスポネンシャル・テクノロジーの俯瞰力は、これからのリーダーにとって、いや、全てのビジネスパーソンにとって必須の教養といえるでしょう。働き方改革や人事研修に関わる人にとっては、真っ先に知っておくべきことでもあります。エクスポネンシャル思考は特にデザイン思考とは相性がよく、同じ研修を行うにしてもエクスポネンシャル思考を前提とするとアウトプットが10倍違います。コンサルティングや提案型営業をされている方にとっては、クライアントが変わればビジネス機会が広がりますので、エクスポネンシャル思考は全ての変革の起点になるのです。
もう傍観者では許されません。全員がイノベーターになるべき時です。未来を一緒に創っていきましょう。
著者プロフィール:齋藤和紀
1974年生まれ。桐蔭学園高校卒、早稲田大学人間科学部卒、同大学院ファイナンス研究科修了。シンギュラリティ大学エグゼクティブプログラム修了。2017年からシンギュラリティ大学グローバルインパクトチャレンジを主催。金融庁職員、石油化学メーカーの経理部長を経た後、ベンチャー支援に従事。経営者に寄り添い、シリコンバレーの投資家・大企業からの資金調達をリードするなど、成長期にあるベンチャーや過渡期にある企業を支えつつ、自らも経営者としてさまざまなチャレンジを仕掛ける。エクスポネンシャル・ジャパン共同代表、Spectee社CFO、iROBOTICS社CFO等。
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