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生産性を革新する、「はみ出しもの」のマネジメント術ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

「働き方改革」の要諦は、生産性の革新にある。これまでの組織にはいなかった「はみ出し人材」を招き入れて、チームでイノベーションを起こそう。

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 そのような「はみ出し人材」を、どうすれば探し出すことができるのか。彼ら彼女らは、自分が硬直化しないためにも、外部から刺激を受けるためにも、あるいはそれこそ「自分探し」を続けるためにも、どこかに閉じこもってしまわないよう努めています。

 はみ出し人材のオープンな特性は、こちらが探しに行くのにも便利ですが、何よりチーム加入後に威力を発揮します。とりわけイノベーションは、異質な外部との接点において創造されることが多いので、はみ出し人材たち自身がどれだけ異質であるかよりも、むしろどれだけ異質な外部へと組織をつないでくれるかが重要です。

 その意味においては、言葉のアヤにはなりますが、あくまで「はみ出し」ている程度の人材が、多くの組織にとってはちょうどいいあんばいなのではないかと考えます。つまり、あまりに強烈すぎる個性は、組織になじめずチームとして結果を出しづらいからです。

 ところで、大企業に勤める優秀な若手や中堅社員には、表面的には卒なく業務をこなしつつ、組織の硬直性に愚痴ばかりこぼしていたり、このままでいいのだろうかと漠然とした不安やモヤモヤ感を抱えていたりする人が少なくありません。そうした人たちにとって、「自分らしさ」を武器に日本社会でサバイブをしようとする「はみ出し人材」が組織に加わることは、何よりの刺激となるはずです。

 とはいえ、そんな異質な人材を巻き込めば、混乱が生じることも当然覚悟することになります。この混乱を乗り越えて、労働生産性の革新を実現するためには、どのようなマネジメントが必要となるのでしょうか。

発揮すべきリーダーシップとは

 残業時間の短縮や多様な働き方の導入、副業解禁といった「働き方改革」を進めることは、転職市場において「はみ出し人材」に来てもらえる会社となるために、今や必須の要件となりつつあります。注意すべきは、それらが前提条件の一つにすぎず、その程度の変化にエグゼクティブは右往左往している場合ではないということです。取り組むべきイシューは、あくまで労働生産性を飛躍的に高めることなのです。

 異質な人材を受け入れて多様化したチームをマネジメントする際には、ダニエル・ゴールマンの6類型を参照するならば、とりわけVisionaryおよびDemocraticといったタイプのリーダーシップが効果的と考えられます。

1、Visionary Leadership: ◎(メンバー間の同質性が低く、かつ達成すべき目標が明確であれば、リーダーにとって最も大切な仕事はその目標=ビジョンを掲げ続けること)

2、Democratic Leadership: ◎(新たなアイデアを創出する、メンバー間の協調性を養う。リーダー自身がイノベーションを起こせるわけではない)

3、Coaching Leadership: ○(メンバー間には必ず葛藤が生まれるため、チームとして機能させ続けるためには細やかなケアが必要)

4、Affiliative Leadership: ○(リーダー自らが、新しい変化や異質なアイデアを受け入れるためにも、上司と部下というよりは互いにリスペクトしあえるフラットな関係性の方が望ましい)

5、Pacesetting Leadership: ×(これまでにないイノベーションを起こすためには不向き)

6、Commanding Leadership: ×(これまでにないイノベーションを起こすためには不向き)

 一言で言えば、調整役ということになるかもしれません。もっとも、賢明な読者の皆さまであれば気付いているでしょうが、自分自身が「はみ出し人材」へ変貌を遂げようと努力すべきです。自分たちが積み上げてきたものを「まずはいったん否定する」ところからしか、日本が抱え続ける諸課題は解決されないのですから。

著者プロフィール:枡野恵也(ますの けいや)

TOOT 代表取締役社長

1982年生まれ。東京大学法学部卒業後、2006年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。2009年レアジョブに参画、法人事業を立ち上げ1年で黒字化達成。2010年にはライフネット生命保険に転職、東証マザーズ上場や経営戦略全般に携わる傍ら、韓国合弁会社設立など海外事業展開を主導する。2015年4月より現職。著書に『人生をはみ出す技術』(日経BP)


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