自分らしく生きている人は、自分らしさになんかこだわりません。「自分らしく仕事をしたい」と言っている人は、自分らしく生きていないのです。「自分らしさ」という言葉を忘れた瞬間に、その人は本当に自分らしく生きています。
人生を生きていく上で大切なのは、自分の個性を大切にして、自信を持って生きることです。「好きなことをして生きていきたいのに、それでは食べていけない」と言って、自信がくじけています。「個性」「自信」「稼ぐ」の3つのことは共存可能です。
それができるように、「自分らしさ」と「好きなこと」という言葉の定義をし直した方がいいのです。
個性とは、「人と違うこと」だ。他者が認めることは、個性ではない
「ビジネスを始めた理由は、世間を見返すことです」という経営者がいます。個性とは、他者承認を求めないことです。人と違うことを恐れていては、個性は発揮できません。そもそも日本人社会は人と違うことを恐れる社会です。面白いことに、そこにネットが入ってくると、人と違うことを恐れることが加速します。大勢が憧れるブロガーは、みんなから距離が近くて理解しやすい人です。
ふだん美術館に行かない人は、印象派を中心とするいわゆるメジャーな作品の時だけ行きます。地方の美術館は、何年か予算をためて印象派の美術品を買います。それでそこそこのお客さまが入ることで満足します。モダンアートは絶対に買いません。
一方、今日のプライベート美術館は、初期の印象派など、当時はまだ評価が定まっていなかったコンテンポラリーアートをたくさん買っています。西洋美術館のもとになる旧・松方美術館もそうです。
まずは「人と違うことを恐れない」というスタンスに立つことです。他者から評価されなくても、ビクビクしないことが大切です。ネット社会をつくった人とユーザーとでは根本的に違います。つくった人は、人と違うことを恐れない人たちです。ユーザーは、人と違うことを恐れる人たちです。これが「ネット資本主義」です。
「恐れる人が、恐れない人に搾取される」のが資本主義の本質です。自分がどちら側にまわるか、ということなのです。
著者プロフィール:中谷彰宏・作家
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。
【中谷塾】を主宰。全国で、セミナー、ワークショップ活動を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。
著作は『人とは違う生き方をしよう。』(秀和システム)など、1050冊を超す。
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