しらけ、後ろ向き、仲が悪いetc. 問題社員へのマネジメント5つのQ&A:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
経営者や管理職が日頃悩んでいる問題社員へのマネジメント課題のいくつかを、Q&A方式で考えてみた。
Q4:社員同士の仲が悪く、前向きなチーム作りのネックになっています
A4:経営者や管理職自身が社員の人間関係にもっと「深入り」してください
社員の人間関係の問題を放置しておくと、チーム運営にとって大きな障害になることがあります。この場合、問題の性質によって経営者や管理職の採るべき対処法は分かれます。
中堅とベテランの女性社員たちがなし崩しに若手女性社員たちの尻拭い役をさせられる一方、当の若手女性社員ばかりがちやほやされている職場がありました。中堅、ベテラン女性社員たちのイライラは募り、結果として若手への意地悪やいじめに発展する兆しがありました。そこで、若手の面倒を見ることを中堅やベテラン女性社員の役割に明確に位置付け手当も付けたところ、問題は治まっていきました。役割任用の在り方を改め、後輩育成を彼女たちの正式な仕事にしたことで意識が変わったのです。
一方で、根本から性格が合わない場合や、決定的に人間関係が悪化した社員同士を仲良くさせるのは難しいものです。その場合は、お互いがなるべく接点を持たないように役割分担や業務シフトを調整したり、座席や勤務場所を離したりするなどの工夫も必要です。
いずれにしても、リーダーはメンバーの人間関係をしっかり把握することが大切です。社員は家族も同然です。長女と次女の仲が悪いのを放置する父親では困るのと同様に、社員同士の人間関係に無頓着な経営者や管理職は問題だと考えてください。社員同士の人間関係には愛情をもって深入りすべきなのです。
Q5:相互理解のために飲み会をセットしたら、「それは仕事ですか?」と聞かれました
A5:「仕事です」と答えましょう。そして、業務時間内に開催してください
仕事とプライベートをしっかり分ける傾向がある若手世代は、プライベートな時間をつぶして会社の飲み会に参加するのを苦痛に感じる場合があります。
しかし、ダイバーシティが進む中、社員同士の相互理解を図るためには、飲み会のようなインフォーマルなコミュニケーションの場は重要です。そこで、飲み会の位置付けを従来のように曖昧にせず、「相互理解のために必要なこと(=仕事)」と明示し、目的や意味をしっかり伝え、業務時間内に会社の経費で開催すれば、若手世代も納得して参加するはずです。社員がその効用を実感できれば、自発的に業務時間外の交流が起こることも多いものです。
また、その飲み会も漫然と開催せずに、ときには「夢を語り合う」などテーマを決めたり、お互いの価値観を知るゲームを取り入れたり、スポーツや趣味系のイベントを併設したりと、社員が義務感だけから参加する空気が生まれないよう工夫をすることが大切です。
……いかがでしょうか。経営者や管理職の姿勢や工夫一つで、社員や会社が活性化する可能性があるのです。
拙著『もう、転職はさせない! 一生働きたい職場のつくり方』では、こうした経営者や管理職の皆さんが直面するマネジメント課題や人材育成への処方箋、さらに「働きがい」あふれる組織に変革させていくための実践ステップも紹介しています。企業の経営改革、人事改革をめざす方に、ぜひ参考にしていただきたい一冊です。
著者プロフィール:前川孝雄
FeelWorks代表取締役・青山学院大学兼任講師・(株)働きがい創造研究所会長
「コミュニケーションが人と組織を変える」をスローガンにする人材育成の専門家集団FeelWorks創業者。兵庫県生まれ。大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒業。リクルートを経て、2008年に「人を大切に育て活かすかす社会づくりへの貢献」を志に起業。独自開発した「上司力研修」「プロフェッショナルマインド研修」「キャリアコンパス研修」「人を活かす経営者ゼミ」「女性リーダー育成講座」「育成風土を創る社内報」など働く環境の変化や時代性を踏まえた先進的なサービスを提供し、350社以上で「人が育つ現場づくり」を支援している。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年に働きがい創造研究所設立。人を育て活かす「上司力」提唱者として自ら年に100回を超える講演活動も。TV番組「ワールドビジネスサテライト」「サキどり↑」「ニュース シブ5時」「めざせ!会社の星」などに出演。YAHOO!「前川孝雄の人が育つ会社研究室」、読売新聞「前川孝雄のはたらく心得」など連載も多数。一般社団法人企業研究会協力委員、ウーマンエンパワー賛同企業審査員なども務める。
著書は「上司の9割は部下の成長に無関心」(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、「一生モノの学ぶ技術・働く技術」(有斐閣)、「ダイバーシティの教科書」(総合法令出版)、「女性の部下の活かし方」(メディアファクトリー)、「年上の部下とうまくつきあう9つのルール」(ダイヤモンド社)、「部下を育て、組織を活かす はじめての上司道」(アニモ出版)、「30代はアニキ力」(平凡社)、「働く人のルール」(明日香出版社)、「勉強会に1万円払うなら、上司と3回飲みなさい」(光文社)「『仕事を続けられる人』と『仕事を失う人』の習慣」(明日香出版社)など多数。最新刊は『もう、転職はさせない!一生働きたい職場のつくり方』(実業之日本社)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 50歳は「人生の正午」。新たな自分と出会う可能性を誰もが持っている
- リーダーは時間という経営資源の価値を最大化せよ!
- 心をつなぐ接客。“やりがい”で人は輝く
- 大事なことだけシンプルに伝える技術
- ビジネスの成功を握るのは、価格戦略だ!
- 「気づける力」の秘密――成長が「速い人」は、何が違うのか?
- 自分に厳しいと、相手にも厳しい?
- マッキンゼー式「ソラ・アメ・カサ」は報連相を超える
- 人とは違う生き方をしよう
- 2つの曖昧を具体的にして、できる人になる
- 言葉の使い方次第で儲かったり損をしたり
- 優秀な人を採用したがるのは、三流社長のやることだ
- 創業43年目で株価が最高値を更新中〜世界最大のソフトウェア会社、マイクロソフトに何が起きたか?