しがみつく人と、しがみつかない人がいる。大人になるということは、しがみつかないということだ:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
しがみつくということは「執着」だ。苦しみは執着から生まれるので、しがみつかないことが大切だ。
何かにしがみつき、もたれかかり、依存する人は、自立していません。自立していないから、人とつきあうことができないのです。すぐに「じゃ、どうすればいいんですか」と言う人は、自立していません。「そこは私の席なんですけど」と言われて、「じゃ、私はどうしたらいいんですか」と言っているのと同じです。
人間関係は、誰かに助けてもらうことではうまくいきません。まずは、自分のしがみつきを放棄することで自立します。そこから人間関係が始まるのです。自立して、初めてチームワークが生まれるのです。
お金にしがみつかない人に、お金が集まり、お金にしがみつく人から、お金が逃げていく
誰でもお金は好きです。お金で苦労するか、お金でうまくいくかは、お金にしがみついているかどうかで分かれます。
お金持ちは、すでにお金を持っています。お金にしがみつく必要がないから、ますますもうかります。
お金のない人は、お金がないと困るから、お金にしがみつきます。「お金、お金」と言っているから、相手からは引かれて、ますますお金がもうからないという負のスパイラルに入っていくのです。
お金のある人に、お金が集まります。お金のない人に、お金は集まりません。お金持ちが何か悪いことをしているわけではありません。しがみつかない人には、人もお金が集まってきます。しがみつく人からは、人もお金も逃げていきます。
この構図が成り立っているのです。お金で苦労したくなかったら、お金にしがみつかないことです。
「今ある利益」にしがみつく人は、「今ある利益」もなくしてしまう。
あらゆる仕事は、お客さまとの対応の前に、仲間と一緒に作業をするところから始まります。その時に、まず自分の利益を確保しようとすると、仲間は離れていきます。まず仲間に利益をあげて、最後に残った分を自分の利益にすることです。
お客さまとの対応も、まず自分の利益を確保してからお客さまの利益を考えているような人から買う人は、誰もいないのです。
何か新しい商売を始める時は、自分からお金を出すようにします。お金を出すということは、お金を手放すということです。
例えば、新商品を出す時は、社内で反対が起こります。「そんなことをしたら、今までの商品が売れなくなります」と言われるのです。今までの利益にしがみついていると、新しい利益は入ってきません。新しい利益を生み出すためには、チャレンジが必要です。
そのためにいったん給料を下げようとすると、「エッ、なんで? 自分の給料が下がるなら新しいビジネスなんかやらなくていい」と言い出す社員が出てきます。会社からすると、その社員自体がいらないのです。結果、その社員はクビになります。
会社には景気がいい時も悪い時もあります。本来は、景気によって社員の給料が上がったり下がったりするのは当たり前です。不思議なことに、社員は一定の給料は当然もらえるものだと思っています。
先取り式で、もうかろうがもうかるまいが関係ないのです。経営者からすると、とんでもない話です。ここに社長と社員との間に意識のズレがあるのです。
まず自分の利益を確保しようとする人は、今の利益にしがみついています。これがお金の苦労をする人です。まずは、今すでに持っている利益にしがみつかないことが大切なのです。
著者プロフィール:中谷彰宏・作家
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。
【中谷塾】を主宰。全国で、セミナー、ワークショップ活動を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。著作は、『しがみつかない大人になる63の方法』(きずな出版)など、1070冊を超す。
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