自創型のまちづくり、7つの「べからず」と「肝」:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
まちづくりで、ついつい陥りがちな落とし穴「7つのべからず」にはまることなく、自創型のまちづくりを進めていくための「7つのここが肝」とは?
古い佇まいをそのまま生かし、陶芸やアート、食をカタチにしたい若者を誘致するというものだ。窯業と農業と観光が融合する拠点にするのだ。GCT研究会の副代表で、西海陶器社長の児玉盛介さんに提案した。児玉さんには任せる器量がある。
精鋭の陶芸家や。カフェレストランをやりたい、ギャラリーを営みたい、コーヒー豆ショップをやりたいという若者を見つけては、「まぁやってみろ」と背中を押した。若者たちはそれぞれ建物をリノベーションし、開業していった。西の原地区は、よみがえり、若い女性が訪れる拠点となっていった。
GCT研究会、朝飯会という場で、みんながやりたいことを共有し合う。すると、やりたい方向性の共感が生まれる。すると共感し合った仲間が、仲間を呼び、そこに協働が生まれる。デザイナーやプランナーなどいろんな人材がまじりあった結果、共創が生まれてくるのである。
10年で観光客が倍増
こうして波佐見町の観光客数は16年に100万人と、この10年で倍増したのである。お金からではなく、人材の誘致や動機づけから「新しいコト価値」が生まれる。現在、波佐見町には、2棟のB&Bホテルもでき、年間宿泊者が8万人にもなり、九州でも観光地の一つとして、取り上げられるようになった。
- べからず(3):役所をあてにするな⇒ここが肝(3):最少の投資で、最小経費で、黒字運営する。
最初から、役所の予算や事業をあてにしてはいけない。飲食、カフェ、物販、ゲストハウス等、事始めの事業予算は、当初は、最少の投資額で、最小限の運営経費で賄っていく設計が大事。行政の予算や事業は、後から付いてくるもの。
- べからず(4):リーダーに依存するな⇒ここが肝(4):共有、共感、協働、共創が集まる場をつくる。
リーダーは大事だ。だが、まちづくりは一人に依存してはけない。「まちづくりは、よそ者、馬鹿者、若者」と、いうが、課題を抱え、解決したいという人が、数人集う場をつくることが大事である。他人がキラリと光る、活躍の出番をつくる場が必要だ。
- べからず(5):ボランティアに依存するな。⇒ここが肝(5):行動の源泉は、いきがい・やりがいと金銭的報酬の輪
行動の源泉は、本人のやりがいやいきがいになるかどうかが大事だが、もう一つは、関わった人の生業(なりわい)や副収入になること。ボランティアの精神は大事だが、継続するのは、金銭的報酬が大事である。
行政、住民、外部の人材、コンサルタント、専門家などのさまざまな力が適材適所で活用されて、地域のさまざまな課題が解決されることの一助になれば幸いである。
- ここが肝(1):地縁、信頼関係ができた専門家を活用する。
- ここが肝(2):その時その時の自分や周りが納得する解をつくる。
- ここが肝(3):最少の投資で、最小経費で、黒字運営する。
- ここが肝(4):共有、共感、協働、共創が集まる場をつくる。
- ここが肝(5):行動の源泉は、いきがい・やりがいと金銭的報酬の輪。
- ここが肝(6):本物・思考を徹底的に模倣すること。
- ここが肝(7):一人称マーケティング。「いいね!」の総和。
著者プロフィール:井手修身(いで おさむ)
イデアパートナーズ株式会社 代表取締役、NPO法人イデア九州・アジア理事長
「観光・まちづくり総合プロデューサー」
1986年 株式会社リクルート入社ビル事業部配属、1996年「地域から日本を変える」運動に目覚め、「地域活性事業部」を設立。旅行情報「じゃらん」事業にて、九州観光振興プロデューサーに就任。2006年 「人材×マーケティング」で観光・集客事業のバリューアップを行うイデアパートナーズ?を起業、九州を中心に旅館・ホテルの再生支援と地域活性化のプランニングに携わる。2010年福岡の街を飲み食べ歩きするまちづくりイベント「バルウォーク福岡」を開催し、全国一の規模に育てる。2016年DMO推進機構『理事』で、日本版DMOの組織づくりの第一人者として、DMO構築の支援に携わっている。年間200回以上、企業・地域の現場に入り、長崎県波佐見町、陶磁器産業の地域再生のプロディースなど手掛ける。内閣官房『地域活性化伝道師』地域活性化を手掛ける専門家。
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