すぐやる人になるきっかけは「行動イノベーション」:経営者からオリンピック選手まで行っている「すぐやる」習慣の極意(2/2 ページ)
どんなに小さくても行動すれば、PDCAサイクルを最速で回すことにもつながり、より良い結果を生み出すこともできる実際のところ何から始めたらいいのか分からないし、なかなかやる気にならない……。
普段、私たちが自分の気持ちを考える際は、3つの声が混在していたり、特定の声(特に頭の声)だけを聞いていたりしがちです。例えば、やる気が続かないと悩む人の大半は「頭の声」だけを聞いています。体調が悪いと悩んでいる人は、「体の声」を無視して肉体を酷使していることが多いのです。
自分の「欲望」と正しく向き合えれば、行動に変化が起き、結果が変わります。まずは自分の欲望を知るために、毎日少しの時間、「頭の声・体の声・心の声」の3つの声を別々に感じるトレーニングをしてみてください。特に先延ばしをやめて今すぐ行動したい場合は、3つの声のうち「心の声」を重点的に聞いてみることで、現状を打開するヒントが見えてくるはずです。
「セルフトーク」で行動を起こす「本当はどうしたい?」
すぐやる人とできない人の「差」は、どこにあるのでしょうか?
アルフレッド・アドラーは、「一見、ある行為(A)が自分にとって善であることを知っていながらそれを行わないということがあるとすれば、Aが善であることを知りながら行わないのではなく、それとは別の行為(B)がその時点の自分にとって善であると判断しているからである」と説明しています。
このアドラー心理学の理論によれば、あなたがやりたいと思っているのになかなか行動できないことがあるとすれば、あなたは行動しないことで目的を達成しているのです。つまり、本心では行動しない方が「善」だと判断しているから、行動しないだけなのです。
ところが人は、自分の本心を自分で分かっていないので、「あること達成したいと本気で思っているのに、いざ行動となると全くできない」と、落ち込んでしまうのです。自分の欲望に素直になることで、その時点で自分にとって善であると判断したことが何なのか?が初めて分かります。そのために効果的なのが「1分間行動イノベーション」です。
1分間であれば、どれほど忙しくても毎日続けられます。また、小さな時間の積み重ねが、あなたの行動を大きく変える一歩につながります。だからこそ「1分間行動イノベーション」は、「たった1分間であなたの人生を変える方法」なのです。
「1分間行動イノベーション」は、2つのパートに分かれます。それは、「50秒セルフトーク」と「10秒アクション」の2つです。まず「50秒セルフトーク」の重要性やコツについて解説します。
セルフトークとは、文字通り自分との対話という意味です。「50秒セルフトーク」でやることはとてもシンプル。「本当はどうしたい?」これだけを自分に問いかけるのです。過去のこと、現状はまず脇に置いて、「本当はどうしたいのか」を問いかけ、イメージしてみるのです。
「50秒セルフトーク」を成功させるコツは、「続けざまに質問する」ということです。例えば、「深夜まで仕事するのはウンザリだ」という本音がでてきたとします。そんな自分に、さらに「深夜まで仕事せずに、本当はどうしたい?」と質問してみるのです。
- A:「深夜まで仕事せずに……読みたい本をゆっくり読みたい」
- B:「深夜まで仕事せずに……子供と話す時間を持ちたい」
- C:「深夜まで仕事せずに……とにかくゆっくり眠りたい」
AとBとCでは、「欲望」がまったく違いますよね。こんなふうに質問を重ねていくと、「欲望」は自然と明らかになってくるのです。
「体軸」がしっかりしていると、スポーツで相手プレーヤーに横からぶつかられてもブレないように、「本当はどうしたいのか?」が分かっていると、判断、決断に迷わなくなります。始めのうちは素晴らしい答えが見つからなくてもいいのです。「本当はどうしたい?」と、まずは今夜食べたいものからでいいので、自身に聞いてみてください。
著者プロフィール:大平信孝
目標実現を専門とするメンタルコーチ。アンカリング・イノベーション代表取締役。
脳科学とアドラー心理学を組み合わせた、独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発し、これまで1万人以上のリーダーのセルフマネジメントや人材育成に関する悩みを解決。また、オリンピック出場アスリート、トップモデル、ベストセラー作家、経営者など各界で活躍する人々の目標実現・行動革新サポートを行う。
著作として「本気で変わりたい人の行動イノベーション」(秀和システム・だいわ文庫)などがある。
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