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インフラ、データ、組織・プロセスの3つの戦略により全社一丸で進める正攻法のDX――東京海上日動システムズ 小林賢也常務ITmedia エグゼクティブセミナーリポート(2/2 ページ)

現在、DXにチャレンジしている東京海上グループ。ユーザー系IT企業である東京海上日動システムズでは東京海上日動火災と共に、DXを一過性の活動にしないために、インフラ構築、プロセス整備、組織の整備、および人材育成を戦略的に推進している。

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データ戦略では、いかにデータを利活用するかが重要

 データ戦略では、データを用意するだけではなく、いかにデータを利活用するかが重要になる。小林氏は、「保有データから、新しいユースケースを作成するためには、必要なデータは何か、社内にあるのか、社外にあるのかなども含めた準備が必要です。分析のためには、データサイエンティストだけでなく、データを準備するデータスチュワードも必要です。現在、10人以上の社員がデータスチュワードとして活躍しています」と話す。

DXを推進する組織・プロセス戦略

 組織・プロセス戦略では、東京海上日動にデジタル案件相談窓口を開設。新しいデジタル案件を開始したい場合、デジタル案件相談窓口に連絡することで、スピーディーで適切なデューデリジェンスを実施。PoCができると判断したら、東京海上日動システムズのデジタルイノベーション本部が、インフラ上で、DevOpsによりアプリケーションを開発。データスチュワードとデータサイエンティストが、ビジネス部門と連携してデータ利活用を行い、PoCを実施する。

 「アジャイル開発なので後戻りしてもいいのですが、組織全体としてはきちんと進めていかないと大きな後戻りが発生し、無駄な時間を作ってしまいます。そこでDXを推進する組織・プロセス戦略が重要になります。この組織・プロセスでは、SoE開発だけでなく、SoR開発、連携も含めて対応することができ、アジャイルとウオーターフォールのハイブリッド開発もワンチームで実施できます。この組織・プロセス戦略により、DXを推進しています」(小林氏)

銀座のDX拠点でエンジニアが働きやすい環境を実現

 東京海上グループがユニークなのは、5〜6年前からDXやデジタルは、自社で取り組むべきものと考えて活動してきたこと。欧米では、ITエンジニアの7割が事業会社にいるといわれているが、日本企業も同様に、ビジネスとITが一体となってDXを進めていくことが必要になる。そこで内製化にこだわり、エンジニアを育成して、組織・プロセスを確立し、東京海上グループのDXを推進。その一環として、銀座にDXの拠点となる「G/D Lab」も開設している。


銀座にDX拠点を設置

 「今はコロナ禍で開発のメンバーは出社せず、完全オンライン化しています。ほぼ1カ月でオンライン開発の環境を構築し、パフォーマンスも、以前と変わらずスクラム開発が可能になりました。ラボでは在宅と出社のメンバーが、シームレスにつながれるようになっていますので、今後のニューノーマルに向け、風土づくりも含め、エンジニアが働きやすい環境を作っていきます」(小林氏)。

 最後に小林氏は、「東京海上グループは、まじめな会社で、小手先ではなく、正攻法でDXを推進しています。インフラを整備し、プロセスを確立して、データ戦略も含めて内製化を進めています。内製化だけでは実現できない部分は、パートナーやステークホルダーなどとのコラボレーションも実現しています。同様の志をもつユーザー系IT企業も何社か知っていますが、日本のDXが欧米に遅れないように、先駆けられるようにするために、われわれがコミットすることが重要だと確信しています」と話し、講演を終えた。

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