第10回:2025年にビジネスパーソンに求められるビジネススキルは、EQ:マネジメント力を科学する(2/2 ページ)
いまグローバルのトップクラス経営者たちから2020年代の必須ビジネススキルとして認識されている「EQ」とは。
近未来のビジネススキルに何が必要なのかと言えば、明らかにヒューマンスキルにスポットが当たっているのです。例えば「リーダーシップ」と「社会的影響力」。相手を感動させたり、共感したりするスキルがこれから求められると言っています。他には「柔軟な判断力」、これはレジリエンスや柔軟性を意味しています。また「サービス志向」はホスピタリティ力。「説得力と交渉力」は、対外折衝の能力を指しているのではなく、チームの仲間の一体感をどう作るかというスキルを指しています。
ちなみに14番の「システム」も、ここで指しているのはIT系のシステムではなく、人事評価や社内評価などの評価制度設計を意味しているのです。2番の「戦略的学習」は、リスキリングです。2020年の時点で「過去のスキルは捨てろ」とまで言っているのですね。日本においても2022年、岸田政権は1兆円の予算を組みました。その実行は、さて、いかほどのものになりますでしょうか。2023年、当社としても非常に注目しています。
ちなみに2020年レポートでは、15スキルの手前で、まず4大項目を決めており、その4大項目から導き出されているのが15項目なのです。その4大項目の中の「2(セルフマネジメント)」と「3(ワーキング・ウィズ・ピープル)」が、まさにEQそのものを指しています。
折しもいま、私たちはウィズコロナでテレワーク/ハイブリッドワークをしています。ここにおいて非常に重要なのが、セルフマネジメント力であり、また対面でのコミュニケーションが限定されてしまっている中での「人と共に働く」ことです。対面で会わないけれども、一体感を作らないといけません。だから、お互いに助け合うことが大切だということを指しています。
コロナ下での環境要因も相まって、しかしそれのみならず時代の変化、流れも踏まえつつ、ことほど左様に、世界のトップレベルの経営者たちがいま、EQの重要性を認識し主張していることに、ぜひ着目してください。
著者プロフィール:井上和幸
株式会社経営者JP 代表取締役社長・CEOに
早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。その後、現リクルートエグゼクティブエージェントのマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。2万名超の経営人材と対面してきた経験から、経営人材の採用・転職支援などを提供している。2021年、経営人材度を客観指標で明らかにするオリジナルのアセスメント「経営者力診断」をリリース。また、著書には、『社長になる人の条件』『ずるいマネジメント』他。「日本経済新聞」「朝日新聞」「読売新聞」「産経新聞」「日経産業新聞」「週刊東洋経済」「週刊現代」「プレジデント」フジテレビ「ホンマでっか?!TV」「WBS」その他メディア出演多数。
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