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ほんのちょっと心の持ちようを変えるだけで、人生も毎日も変わるビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

人生は必ずしも思い通り、計画通りにいくわけではない。思ってもみないことが起こる。だから問われてくるのは、そういうときにどう対応できるか、である。

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 そして多くの人への取材を通じて、改めて強く感じたことがある。誰かの役に立ち、「ありがとう」を言ってもらえる以上の幸せが果たしてあるか、ということである。起業に成功して巨額の資産を得ながら、今もなおリスクを取って果敢に挑戦をし続ける経営者が多いのはなぜか。誰よりも働き、猛烈な努力をしているのはなぜか。ぜいたくに暮らすことや名声を得ることに、実は本当の幸せはないからではないか。彼らが頑張り続けているのは、そうすることで、より多くの人の役に立てるからだ。より多くの人を幸せにできるからだ。そしてそれこそが、自分の大きな幸せにつながるのである。

 一方、思うように仕事や人間関係が進んでいかないことに、悩んでしまう若い人も多い。以前、新入社員向けの研修で話をさせてもらったことがあるのだが、そこで話したのは、成功者や著名人に共通する心の持ちようだった。それは、最初から多くを期待していない、ということである。彼らの多くが、世の中や人生の不条理さ、不合理さをしっかりと受け止めていたのだ。

 人生が思い通りにならないなんて、当たり前のこと。そもそも世の中は、不条理で不合理で不平等で理不尽で残酷なもの。実際、これは事実ではないだろうか。そのことに真正面に向き合い、その事実をしっかり受け入れれば、最初から覚悟が生まれる。だから、起業家しかり、メダリストしかり、有名俳優しかり、とんでもない努力をしていても、当人は大した苦労などとは思っていないのだ。皆、涼しげな顔をして昔を振り返るのである。

 加えて、うまくいっている人たちは、自分を喜ばせるのが、とてもうまい。別の言い方をすれば、幸せのハードルが低いのだ。だから、ちょっとしたことでも幸せに感じられる。幸せ感を感じられるから、次のモチベーションにつなげていくことができる。苦虫をかみつぶしたような顔で過ごすのではなく、本当は大変なのに、ほがらかににこやかにしている。だからこそ、人も集まってくる。チャンスもやってくるのだ。

 人生は必ずしも思い通り、計画通りにいくわけではない。むしろ、いかないことのほうが多いかもしれない。思ってもみないことが起こる。だから問われてくるのは、そういうときにどう対応できるか、である。

 私自身、苦しさは当たり前なのだと教わり、自分でもそう思えるようになったことも人生を大きく変えた。ラクして生きられるなんてありえない、努力は必ずしも報われない。そう思っていれば、そのつもりで動けるようになる。これもまた大きな「マインド・リセット」だった。

 多くの人に「マインド・リセット」を体験してほしい。そして、思ってもみないような未来の到来を、実体験してみてほしい。私がそうだったように。

著者プロフィール:上阪徹(うえさか とおる)

ブックライター

1966年兵庫県生まれ。89年早稲田大学商学部卒。ワールド、リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに雑誌や書籍、webメディアなどで幅広く執筆やインタビューを手掛ける。これまでの取材人数は3000人超。担当した書籍は100冊超。携わった書籍の累計売上は200万部を超える。著書に『1分で心が震える プロの言葉100』(東洋経済新報社)、『引き出す力』(河出書房新社)、『子どもが面白がる学校を創る』(日経BP)、『文章がすぐにうまく書ける技術』(日本実業出版社)、『10倍速く書ける 超スピード文章術』(ダイヤモンド社)、『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』(あさ出版)、『マイクロソフト 再始動する最強企業』(ダイヤモンド社)、『JALの心づかい』(河出書房新社)など多数。またインタビュー集に、累計40万部を突破した『プロ論。』シリーズ(徳間書店)などがある。


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