何もかもが不確実な時代に必要なのは「自社のファンである」こと:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
エグゼクティブの皆さま、リーダーの皆さまに、激動の時代を乗り切るためのインナーブランディングをベースとした3つの観点を伝えます。
そこで最も重視しなければならない判断基準が「理念」だと、私は考えています。
理念(狭義には企業理念・経営理念とありますが、ここはまとめて「理念」とします)は、その会社に所属する役員や従業員全てが従うべき、いわば憲法のようなもの。
役員や従業員は、本来であれば理念を理解し、共感し、理念に沿って思考・行動するものだと考えるのですが、なかなかそうではないようです。
当たり前のようで、実は「理念をベースに判断することは無い(無かった)」人がかなり多いのです(私自身も若いころはそうでした)。
理念を判断基準にすると、社内の誰もが完全に同じ判断に至るというのは難しいですが、判断の方向に一貫性が生まれてきます。方向性がブレなければ、健全な議論が行えます。俯瞰してみると、創業者や経営者が理念に基づいて言っていることと、従業員の言動や行動が一致していることが分かるでしょう。
そうすると、結果的に社外への自社や自社のサービスや製品に対する訴求力も格段に上がります。役員や従業員が理念のもつチカラを信じ、理念の向かう方向に進むことで、その意識が、言葉を通じて社外の商談相手に伝わるのです。結果、業績の向上にもつながります。
無形資産(人、文化)への意識を高めること
「人的資本経営」が叫ばれ、それは人的資本の情報開示が義務付けられている上場企業のみならず中小企業にも影響を及ぼすものとされています。企業において人を資本と捉え、その企業において人が何を生み出していくのかを重視するわけです。しかしスキルやノウハウを得るような研修を行うことが大切という企業が多いように感じます。それらも大切なことなのですが、それ以前のことにいかに目を向けられるかが、人的資本経営においては重視されるべきと考えます。
それは、「人という資本が、イノベーションなり、業務効率化なり、業績向上の仕組みなりを生み出すための『ベースの考え方』を、文化として根付かせる」ことだと考えます。
そしてその文化醸成の源となるのが理念なのです。
カタチだけの改革では不確実な時代を生き抜くことができないと、読んでくれているエグゼクティブやリーダーの皆さまの方が実感をしているでしょう。
今こそ理念に沿って本質的なことを議論し、企業が永続的に発展するための基盤をさらに強固なものにしていきませんか? そのためにも、皆さまがまず自社のファンになることが、必要不可欠なのではないでしょうか。
著者プロフィール:鈴木誠一郎
株式会社ブライトンパートナーズ 代表取締役、インナーブランディング研究協会 founder 兼 会長、営業部女子課 co-founder 兼 顧問
1968年生まれ/福岡県出身/私立西南学院高等学校卒/日本大学商学部会計学科卒。
東証一部上場(当時)会計システムベンダーや監査法人系コンサルティングファーム、国内大手コンサルティンググループファームなど、IT業界に約17年従事。プログラマ、SE、プロジェクトマネージャー、新規開拓営業、システムコンサルタント、コンサルティング事業部長と幅広く経験。その後ベンチャー企業取締役(財務経理・人事管掌)やインナーブランディングコンサルティングファーム、ジャスダック上場(当時)企業の人事部課長(採用・人材育成)を歴任。「作る・売る・支える」という企業における主な分野の業務を経験。5回の転職を通じた、非連続なキャリア形成に基づく多面的な視点と、共感力あふれるコミュニケーション力が強み。
2015年ブライトンパートナーズを創業。2020年法人化。種々の事業を推進する中で、「企業が持つチカラは理念に宿る」という想いに火が点き、中堅中小企業のインナーブランディング推進支援を生業として活動中。
2020年8月、インナーブランディングの国内普及を志し、インナーブランディング研究協会を発足(任意団体)。会長に就任。
保有資格:(一財)生涯学習開発財団 認定コーチ(プロコーチ歴23年)
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