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第20回:これからの経営者・リーダーが、組織を率いるために発揮すべき力、使うべき言葉マネジメント力を科学する(1/2 ページ)

経営者やマネジメント、リーダーには2つの「描く力」が必要だ。

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『こうして社員は、やる気を失っていく』(Amazon)

 エグゼクティブの皆さんが活躍する際に発揮するマネジメント能力にスポットを当て、「いかなるときに、どのような力が求められるか」について明らかにしていく当連載。

 自社のメンバーたちがどうすれば生き生きと働き、自ら動く組織となるのかについて、ベストセラー『こうして社員は、やる気を失っていく』の著者、株式会社モチベーションジャパン代表・松岡保昌さんと当連載筆者の経営者JP代表・井上との対談の内容からお届けする、第5回です。(2022年7月21日(木)開催「経営者力診断スペシャルトークライブ:社員のやる気を、こうして取り戻せ!」)

リーダーに求められる、2つの「描く力」

 このトークライブは「経営者力 5つの力の診断」シリーズとなっています。松岡さんとも経営者やマネジメントにはどのような力が求められているのかという観点でディスカッションを行いました。

 簡単に「5つの力」を紹介すると、経営者JPが特定した経営者力のコアな因子は「描く(構想力)・決める(決断力)・やり切る(遂行力)」の3つです。言葉にすればすごく平易ですから、読者の皆さんも直感的に理解できるでしょう。

 これをレバレッジさせていくのが「まとめる力(リーダーシップ力)」と「学び続ける力(学習力・習慣化力)」の2つです。

 松岡さんは、経営者やマネジメント、リーダーには2つの「描く力」が必要だと言います。

 1つ目はビジョンで、「どんなことを実現したいのか」「実現した時にはどういう世の中になっているのか」ということです。自分が生まれたからには、起業するからには、働くからには、どんなミッションが必要なのか、そして、その時にはどんなビジョンがあるのか。これがすごく重要です。

 それに加えて、2つ目はそこに行くための「シナリオ力」。「そこに到達するまでのプロセスを描く力」もすごく求められます。これがないと、いくら構想やビジョンを描いても実現しませんよね。そしてその実行のし方に「共鳴・共感させられるかどうか」が、「まとめる力」に絡んできます。だから「シナリオ力」もすごく重要です。

 そのシナリオを持って、ここまでの話にあったように、いろんな人と対話を重ねていく。経営者やマネジメント、リーダーの仕事は、その中で「どういうことをしていくのが望ましいか」「実際どういうふうに実行・実現していくのか」などを示していくことだと思います。

「決める力」を発揮するために必要なこと

 「決める力」もすごく大事ですねと松岡さん。

もちろん「自分で何かを英断すること」が大事なのですが、さらに「決めるための情報がきちんと伝わる仕組みを作る」ということもすごく重要なのだと松岡さんは強調します。

 このトークライブの前半に話の出た「当事者意識」があれば、お客さまの情報や変化を社内に伝えようとします。トップや、少なくとも上司には上げようと思うはずです。だから「ちゃんとした判断をするための情報が上がってくる仕組み」を作る力を含めて、「決断力」だと思ったほうがいいのです。

 一見「決める」というと、「あるものに対して自分なりの判断をくだすこと」だけに思えますし、リーダーシップというと「みんなを巻き込んでいくこと」だけだと考えてしまいます。

 しかしそれだけではなく、「そのお膳立てになる情報をちゃんと取りに行くこと」、また逆に「情報を先にみんなに伝えていくこと」が欠かせません。これは「経営者力診断」を開発していて、私(井上)も発見だなと感じました。

「リーダーとして発信し、巻き込む力」がこれからより重要になる

 松岡さんはまた、これからの経営者やリーダーがどうあるべきかについて、5つの力の「リーダーとして巻き込む力」がすごく重要になってくると言います。

 個々人が自律し始めて、組織に遠心力が働くようになっていく中で、もう1度「何のために、何をやるのか」を熱く語れるかどうかがすごく大切になることは、皆さんも肌で感じるのではないでしょうか。

 上に立つ人こそ、本気で「これを実現したいんだ」と自分の言葉で言えるかどうか、そして「理念に共感・共鳴させて、ついてきてもらう人を増やせる力」がすごく重要になってきます。

 おそらく、そこでの熱量が影響力になるのではないでしょうか。

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