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変わりゆく時代の中で、上司は部下にどう接するべきか? 「部下を活かすマネジメント“新作法”」ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)

「上司力(R)」をキーワードに、大手企業で人材育成支援を行うFeelWorks代表取締役の前川氏。前川氏の考える、部下のポテンシャルを最大限に生かすためのマネジメント新作法とは、どのようなものなのだろうか?

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職場ではプライバシーに関わることは話さない?

 「職場ではプライバシーに関わることは話さない?」という質問には、話したい人が話すのは構わないが、あえて聞かない、距離感は大事という意見と、話さない傾向もあるが、自分が開示することによって話をしてくれる人もいる、仕事以外の状況を全く知らないままでは接することが難しいので、相手が話せるレベルで聞くなどの意見があった。

 プライベートな時間と仕事の時間を切り分けるワークライフバランスという言葉が広まり、昔のような飲みミュニケーションなども歓迎されない今、上司はどこまで部下とプライベートなことを話すべきなのか?

 前川氏「プライバシーにかかわることは話さないと決めつけてしまうと、問題が起こると思っている。ある調査によると、上司と部下のコミュニケーションが希薄な職場ではハラスメントが起こりやすくなるという結果が出ていて、コミュニケーションが希薄で相互理解がされてないと、些細なことでも問題がこじれやすい。

 コロナ禍でリモートワークが広がり、孤独を感じて、先輩や上司との関係に悩む若手社員も増えている。だからこそ、プライバシーにかかわることも共有しあった方がいいと考えている。『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』という本に詳しく書いたが、チームビルディングには5つのステップがあり、そのステップ1は『相互理解を深める』ことだ。ただし、部下のプライバシーを詮索したり、開示を強要してはいけない。では、どうするか。まずは上司自身が自己開示をしていくことだ。そうすると部下も『こういうことを話してもいいんだ』と心理的安全性を感じて、少しずつ自分のプライベートについて話してくれるようになる。相互理解のためには、上司からの自己開示は欠かせない」

自分の方針と違う部下の意見にも共感することは必要か?

 「自分の方針と違う部下の意見にも共感することは必要か?」という質問には、必要だと答えた人が約9割だった。意見としては、共感は必要、ただし同感は内容次第、自分が正しいとは限らないので受け入れて最善策を話し合う、などがあった。

 前川氏「ここでは、“共感”と“同調(同意・同感)”を分けて考える必要がある。“共感”は『相手の感じたこと・考え方を、ありのままに知ろうとすること』で、必ずしも自分が相手とまったく同じ意見・態度になることではない。“同調”は『相手の感じたこと・考え方に対し、相手と同じ調子に合わせ、相手と同じ意見・態度になること』だ。上司が部下の話に“共感”することは大切だが、必ずしも“同調”する必要はない」


コミュニケーション・サイクル理論

 前川氏「FeelWorksでは、コミュニケーションを4つのステップで整理した『コミュニケーション・サイクル理論』を提唱している。コミュニケーションで最も大切なのは、まず『違いを認める』こと。相手の考え方に共感した結果、違いを認めることができる。次に1on1などの深い対話を通して、その背景にある『価値観を知る』ことが重要だ。その上で、上司として『あり方を定める』、つまり、その部下に向き合っていくコミュニケーションスタイルを決める。そうして日常的にその部下に接する『やり方を変える』ことでコミュニケーション方法を抜本的に変える。

 この『コミュニケーション・サイクル理論』のスタートは、やはり “共感”だ。相手に“同意”するのではなく、“共感”を示して相手との“違いを認める”ことで、生産的なコミュニケーションが可能になっていくはずだ」

 前川氏からの問いかけに、参加者から多くの回答が寄せられ、お互いに参考にしたり、考えたりするきっかけとなったようだ。マネジメント意識の高い参加者からの回答に、前川氏も感心しきりの様子で、プログラム終了後の質疑応答も盛り上がりを見せていた。

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