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第3回若手が辞めにくい職場のつくり方Z世代の早期離職は上司力で激減できる!(2/2 ページ)

大手企業400社以上で「上司力(R)研修」を提供するFeelWorks代表取締役の前川孝雄氏は、大企業で深刻化する若手の早期離職の予防に向けて「Z世代の早期離職は上司力で激減できる!」(2024年4月)を発行した。そこでZ世代の若手部下の育成マネジメントについて3回に分けてつづってもらう。

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 ビジネスは対面サービスだけではありませんから、必ずしも感謝と同時に報酬を受け取る場面ばかりではありません。けれども、あるべき仕事を考える上でも、顔の見える関係での「ありがとう」が働く喜びの源泉であるとの捉え方が大切です。たとえお客様の顔が直接見えない仕事であっても、また総務や経理などの管理部門の業務であっても、よい仕事を行うことで、その何工程か先でのお客様や社会への貢献=「ありがとう」をしっかり支え、増やしていくことができるのです。

 そこで、若手社員には、会社の目的も、お客様からいただける「ありがとう」であり、社員一人ひとりの働きがいもそこから生まれること。それを創ろうとする各自の「思い」が大切であることを、伝えましょう。新入社員の仕事への思いを大切に育むことが、重要なのです。

承認欲求と帰属欲求を満たす

 また同時に、互いに「思いやり」を持って働くことの大切さも説いていきましょう。

 ここで言う「思いやり」とは、同じ仕事の目的(思い)を協力して達成するチームや組織・会社の仲間を大切に思い、気遣う「思いやり」です。働きがいを得るためのもう1つの大切な要素は、会社・組織に所属し、チームメンバーと承認し合うことです。

 チームで協力して働く中で、上司・先輩・同僚との信頼関係が生まれます。そして、仕事への取り組み姿勢や、仕事の結果・成果に対し、チーム内での承認や称賛を得られた時に、働きがいを感じることができるのです。

 アメリカの心理学者A.マズローの欲求5段階説を皆さん知っているでしょう。別掲の図はこれを基に、私が作成したものです(【図表】参照)。


組織に帰属し承認されることが大切

 人が生きる上で、生理欲求や安全欲求の充足は不可欠です。また、自分らしく創造的に生きたいとする自己実現欲求も大切です。その前提の上で、社会的存在としての人にとって社会(帰属)欲求と承認欲求の充足はとても切実なものです。社会動物である人は、孤立無援な状態では生きる平衡感覚を失ってしまうからです。

 特に、私たちが社会の中で意欲を持って働き続けるためには、職場に所属して、上司や同僚との良好な人間関係と協力体制を得ることが不可欠です。そして働きがいを感じながら前向きに意欲を持って仕事に取り組むためには、この2つの欲求が充足されることがとても大事な要素です。

 働くとは「人のために動くこと」「傍を楽にすること」とも言い換えることができます。働きがいとは、人と人との関係性の中で得られるものなのです。そこで、若手社員に対しては「お互いに思いやりを持って働くことで、共に働いがいを得ていこう」と伝えましょう。

 人的資本経営への注目が集まる現代。人をコストではなく、投資すべき大切な資本として見ていこうとの流れになっています。人的資本効率を高めること、すなわち生産性向上のためには、働き手の自律的で前向きな働き方を引き出すことが必須です。よって、一人ひとりの内発的な動機づけに通ずる働きがいを高めることが、益々重要になっているのです。特に時代を映す鏡である若手の離職防止と職場への定着、エンゲージメントを強化していくためにも不可欠な視点です。働きがいの醸成は、上司力の向上にかかっているのです。


若手部下の早期離職を激減させ、成長と働きがいを育むマネジメントについてより詳しく知りたい方は、拙著『Z世代の早期離職は上司力で激減できる!「働きがい」と「成長実感」を高める3つのステップ』(FeelWorks、2024年4月1日発行)をぜひご参照ください。

著者プロフィール:前川孝雄(株式会社Feel Works代表取締役/青山学院大学兼任講師)

人を育て活かす「上司力(R)」提唱の第一人者。(株)リクルートで『リクナビ』『ケイコとマナブ』『就職ジャーナル』などの編集長を経て、2008年に (株)FeelWorks創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、研修事業と出版事業を営む。「上司力(R)研修」シリーズ、「ドラマで学ぶ『社会人のビジネスマインド』」、eラーニング「パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」、「50代からの働き方研修」等で、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年(株)働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、(一社)企業研究会 研究協力委員サポーター、(一社)ウーマンエンパワー協会 理事等も兼職。30年以上、一貫して働く現場から求められる上司や経営のあり方を探求し続けており、人的資本経営、ダイバーシティマネジメント、リーダーシップ、キャリア支援に詳しい。連載や講演活動も多数。

著書は『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks)、『部下を活かすマネジメント“新作法”』(労務行政)、『本物の「上司力」』(大和出版)、『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks)、『ダイバーシティの教科書』(総合法令出版)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『一生働きたい職場のつくり方』(実業之日本社)、『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『50歳からの人生が変わる痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所)等約40冊。最新刊は『Z世代の早期離職は上司力で激減できる!「働きがい」と「成長実感」を高める3つのステップ”』(FeelWorks、2024年4月1日)出版事業 Z世代の早期離職は上司力で激減できる! - 株式会社 FeelWorks。

※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


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