Web2.0時代に挑む広告代理店
【第2回】チャンスと課題――技術が広告業界に与える影響
ボストンで地価の高いバックベイ地域にあるビルの8フロアを占めるアーノルド本社のロビーは、ちょっとした広告ミュージアムだ。
一方の壁側には、使い古しの緑のラウンジチェアが寄せて置かれている。別の壁側には黒い遺体袋が転がっている。ラウンジチェアは、アーノルドが制作したフォルクスワーゲンの印象的なテレビCMで使われた。
そのCMは2人の男が街角でラウンジチェアを拾い、フォルクスワーゲンに詰め込んであちこちドライブしていたところ、それが臭うのに気付いて、別の場所で放り出すというもの。一方、遺体袋は禁煙キャンペーンのスポットCMで使っている。
「この業界は、ビジネスと創造性が出会うことによって成り立っているわれわれのビジネスはアイデアが勝負。核となるアイデアを見つけ出し、それを表現できるかどうかが常に問われる」と、アーノルドのボストンオフィスの社長を務めるパム・ハムリン氏。
1946年にアーノルド・Z・ロゾフ氏が広告代理店をボストンに設立し、自分の名前にちなんで社名をアーノルド&カンパニーとした。ロゾフ氏は1988年に同社を売却。その後、所有者が何度か変わり、1990年に現CEOのエド・エスカンダリアン氏が買収した。同氏はすでに、経営権をフランスの大手広告代理店アヴァスに売却している。
アーノルドはフォルクスワーゲンの広告キャンペーン「Drivers wanted」(ドライバー求む)などの愉快なCMで名をはせた(2005年にフォルクスワーゲンは突然、10年に及ぶアーノルドとの取引を打ち切り、同社と競合するクリスピンポーター+ボガスキーと契約した)。2004年のスーパーボウルでは、たばこ業界を危険物の販売者として風刺したCMでエミー賞を受賞。このキャンペーンの後、若者の喫煙が22%減少したということがある。
2005年にアドバタイジングエイジ誌が発表した米国の広告代理店の規模ランキングで、年商1億4400万ドルのアーノルドは19位に入っている。
しかし、ここ数年、SNSやブログが急増し、広告業界の競争のあり方は急激に様変わりした。それは、課題とともにチャンスを増やしている。
「技術はマーケティングに極めて強い影響を及ぼしている。わたしがこのビジネスに携わったころは、ブランドのメッセージを伝える方法は6~7種類しかなかった。今では膨大な数のやり方がある。その上、ITを駆使してマーケティングの結果を分析するようになっている。クライアントはROIマーケティングを本格的に模索している」(ハムリン氏)。
Copyright© 2007 TechTarget, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
新幹線にスマホ10台! 説明前にまず自分で確かめる - Zimperium 成田氏
-
2
第1回:到来した「自律型AI時代」
-
3
NECの顔認証決済、ソフトバンクの社員食堂で実証 「顔パス」でレジ業務効率化
-
4
「ビール化」するサントリー「金麦」、救世主になれるか 10月6日発売 関西で販売強化
-
5
なぜコーポレートITはコスト削減率が低いのか――既存産業を再定義することでDXを推進
-
6
「セキュリティ対策は情報漏洩対策」からの脱却を――ビジネスリスクと捉え、工場やサプライチェーンでの対策も推進するTOPPANグループ
-
7
大人の語らいに。名品を味わう「アートなアフタヌーンティー」体験
-
8
「人は育てるものではない、一緒に育つもの」――中野区役所・平田氏
-
9
「経営を動かす説明力を鍛えつつ、今も自らログ解析」 - みんなの銀行CISO二宮氏
-
10
創業43年目で株価が最高値を更新中~世界最大のソフトウェア会社、マイクロソフトに何が起きたか?
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー