「保険金不払い問題」乗り越える保険業界――サービス品質改善にITができることとは?(1/2 ページ)
情報統合はビジネスプロセスの改革にもつながる。「ITmedia エグゼクティブ」では12月11日、保険業界のエグゼクティブを招待し、情報統合をテーマにラウンドテーブルを開催した。
保険金不払い問題に対し行政処分が出されるなど、保険業界は経営管理態勢の抜本的な改善が喫緊の課題だ。大手保険会社では、業務プロセスの改革によって、サービス品質を継続的に改善していこうとする取り組みが進んでいる。
「残念なことに、契約時のごく当たり前のことができていなかった」と反省するのは、パネルディスカッションに登場した三井住友海上火災保険のIT推進部部長の玉田孝一郎氏。支払洩れのない保険金という「当然品質」を超え、損害サービスを通じて顧客から信頼され選ばれる「感動品質」を達成しよう、と同社も改革に乗り出している。
業務効率に重きを置いたIT戦略から脱却し、業務品質の改善サイクルをITの側面から支えるのが、情報システム部門を率いる玉田氏の役割だ。
損害保険は顧客と直接接点を持つだけに、顧客の体験プロセスを改善できれば、それが競争力にもつながる。顧客の不満を仮説分析し「仮説→検証→実行計画→本格展開」というプロセスを構築しようとしている。
「苦情などの情報は山のようにあるが、現場任せになっていた。これら情報を商品や顧客から見た体験プロセスに生かし、改善を図っていきたい」と、玉田氏は言う。
コンテンツが持つ本当の価値
テックバイザージェイピー代表取締役の栗原潔氏は「定型データを分析するBIや、非定型データを管理するECMなどの情報管理の世界は、徐々にBPM(ビジネスプロセスマネジメント)と、オーバーラップしてきている」と指摘する。
「これまでのエリアにとらわれて、思考を止めてしまうのはもったいない。これらの境界領域が差別化のためには面白いところだ」(栗原氏)
現在、世の中のデジタルデータの80%は、非定型データと言われる。音楽や映像などがこの非定型データの代表だが、企業内ではWordといった文書コンテンツがそれに当たる。これらコンテンツはトランザクション情報などの定型データに比べて、ファイルの形式の標準化が十分に進んでいないなど、管理の難しいところだが、エンタープライズサーチなど、情報へのポインタを集約する仮想統合の技術も登場してきている。
とはいえ、コンテンツはその意味内容(セマンティクス)にこそ価値がある。単純に集約するだけでは、コンテンツの価値を引き出せない。「コンテキスト(背景情報)とともに評価できれば、さらに情報の価値を向上できる」(栗原氏)。
例えば「この製品が気に入った」という消費者からのメールを単独で見て「これはうれしい情報だ」とだけ見ては、意味がないが、意味内容とともに評価すれば、「実は販売中止の製品だったが、特定のユーザーからは評価が高かった」ということが分かるかもしれない。
「製品は良かったが、ターゲットが悪かったのではないか? 新製品の企画に結び付くかもしれない――という視点が大切だ」と、栗原氏は言う。
「非定型データのコンテンツととらえるのではなく、ビジネスプロセスのトリガーととらえる考え方が重要になってくる」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
グーグル、AI生成コンテンツの「透かし」検出ツールを一般公開 画像、動画などで識別
-
2
ジャズマンや文化人に愛された「新宿DUG」が閉店、マスターに聞くこれから
-
3
東京のレストラン7軒がメキシコ政府から「本格的なメキシコ料理」として認定
-
4
「薬機法申請の添削AI」を現場が作った――ライオンが100人のAI開発者を育てて見えた「民主化」の分岐点
-
5
「進まざる者は必ず退く」、現状維持は大きなリスク - みずほFG CISO 寺井氏
-
6
なぜコーポレートITはコスト削減率が低いのか――既存産業を再定義することでDXを推進
-
7
BizOpsとは何か? 構想と現場をつなぐ、事業成長の“実行装置”
-
8
50代で退職したらどうなる? 辞めてはいけない4タイプ
-
9
第1回:到来した「自律型AI時代」
-
10
中国人も台湾人も夜遅くまで働いている 日本人だけが「働き方改革」でいいのか
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー