活発化する「現場のIT活用」
現場の活用を支える経営視点の情報戦略
個人が分析のすべてを負うのか
BIの現場活用のの中で、分析結果を顧客などに提出することのないケースについて考えてみよう。卸関係の企業では、顧客である小売店に対して、BIツールではじき出した、分析結果をサービス用のツールとして利用することが多い。
一方小売業の現場などでは顧客サービスといえば、対面での接客販売が中心で、データをいちいち説明したりすることはない。
販売の現場でも、BIの活用を積極的に進めている企業もある。しかし、販売をしている最中に端末を使ってデータ解析をする時間はないし、通常業務が終わった後に、というのもあまり現実的とはいえない。
小売業ではバイヤーなどの職種の人がBIツールを活用するケースが多い。売れ筋を読みたい、販売機会の損失を防ぎたいという直接的なニーズが発生するからだ。これは卸業関係での活用と似ている。
しかし、販売の現場に対しても、こうした情報は必ずフィードバックする必要がある。漫然と接客をしていれば売れるという時代はとうに過ぎているのである。
日本総研ソリューションズの第一SI本部のソリューションマネジャー、金子洋一郎氏は次のように語る。
「いちいち個々人が分析していては、最適のタイミングでアクションを起こすのに間に合わないケースもあるわけです。こういう場合はチェックする必要がある項目を調べ上げておいて、自動的に組織全体にアラートを出し、瞬時に情報を共有するという方策がとられます」
BIの本格活用には使い分けがポイント
同じく日本総研の技術本部、プロジェクト・マネジメント・プロフェッショナルの宮脇訓晴氏は次のように語る。
「わたしは、経営指標を設定しておいて、自動的にその指標の到達状況をBIツールを使ってリアルタイムにリポートする仕組みにかかわっています。いわば、現場ではなく、トップダウンの指示に活用するBIに取り組んでいるわけですが、やはり、リアルタイムに複雑な状況を把握するには、ITの利点を生かして自動化することが大切になっています」
やはりBIの活用には、使い分けが必要だ。ほぼリアルタイムで、自動的に最新データを見ることができる仕組みと、個人が自分の関わる現場に役立つ情報を分析によってはじき出すというものだ。
企業全体を取り巻くトレンドは、トップダウン型の自動化を施したデータ開示の仕組みが欠かせない。全体のトレンドは会社が提示するデータをポータルサイトなどでチェックしておき、現場の個々人は、できるだけ自分の仕事に密接な関連性を持つデータを追いかけるという、ある種の棲み分けが重要になってくるだろう。
また、同じく日本総研のITコンサルティング本部のコンサルタント長堀亨氏がこんな話をしてくれた。
「会計システムなど大きなシステムを構築する場合は、必ずBIツールを絡めた提案になります。それだけ経営とBIは密接に関連しています」
もともとBIは経営層が利用したいデータの把握に活用されてきた。財務関連データの可視化が最大の武器だったわけだ。現場の活用はもちろんこれからもますます重要になってくる。しかし、その活用をよりスムーズにしていくには、経営層でのデータ活用がうまくいっていることが、大前提になるのではないだろうか。「データを活用して何を知りたいのか、そして得た知識を用いて何をするのか」こうしたことを明確にしている企業こそが、現場のデータ活用も活性化するはずである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「大企業は一朝一夕には変わらない」 NTTデータ冨安寛氏がAI時代に重視する原理原則
-
2
初心者向けの料理教室、男性受講生が過半数に 家庭での調理頻度も増加
-
3
ほんのちょっと心の持ちようを変えるだけで、人生も毎日も変わる
-
4
なぜ答えが揺れ、堂々と間違えるのか ―― 確率で動く生成AIの正体
-
5
イオン、フィジカルAIで物流改革 配送拠点の自動化率5割達成 深刻な人手不足に対応
-
6
経営と現場の板挟みになりがちなガバナンス、優先してやるべきことを明確に――リクルート 鴨志田昭輝氏
-
7
「世界のベストバー50 2026」に東京のバー2軒がランクイン
-
8
第55回:「誰が言ったか」で判断していないか──SNS時代、エグゼクティブに必要な「空気に逆らう力」
-
9
チェキの新製品、タッチパネル式大画面を初搭載 富士フイルムが2機種新発売へ
-
10
「仕方ないインシデント」まで全力を尽くせるか - さくらインターネット 江草氏
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー