トレンドフォーカス
製造業の発展の遅れがIT大国を生んだ(2/2 ページ)
工業発展の遅れがIT市場の進展を加速
インドでは独立後、60年代にかけて政府主導の混合経済体制が敷かれ、産業許認可制度を軸とした広範な経済統制で企業活動は大幅に制限された。60~80年代のインディラ・ガンディー政権下による統合主義的経済運営時代を経て、80年代の規制緩和と91年のNEP(新経済改革)により、海外貿易と直接投資が自由化され、マクロ経済不均衡の是正と混合経済体制の見直しがなされた。そのインド経済の躍進に大きく貢献したのが、労働生産性が高いIT産業だった。製造業の発展の遅れがソフトウェア産業の進展を加速した。
インド政府は、テクノロジー支給金や減税などでIT産業を支援する一方、年間40万人を輩出する理工系大学の育成にも力を入れた。主な人材供給源となるのが、MIT、スタンフォードに次いで評価の高いといわれるインド工科大学(IIT)とインド科学大学院大学(IISc)である。その結果、IT技術者の雇用数は06年度に163万人にまで拡大、この人材層がITアウトソーシング先としてのインドの優位性を保つ源泉になっている。
また、インドITは典型的な輸出産業である。06年度のIT産業の輸出額は319億ドルで、IT産業全体の7割近くを占める。06年度のIT産業全体に占める輸出シェアは66.7%で319億ドル。その67%が米国、15%が英国。一方日本向けのシェアは、04年度の2.8%から05年度は1.5%に低下している。
さらに安さも強さの要因だ。米国のIT技術者の賃金を100とした場合、日本は141に対し、インドはわずか16。人件費の高騰が叫ばれているが、従業員1人あたりの収益を見ると、IBMが24万ドル、アクセンチュアが12万ドル、富士通が32万ドルに対し、ウィプロは利益率を30%確保しながら1人あたり6万5千ドル程度と、健全な経営を維持しつつ国際的な価格競争力が高いことがわかる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「CISOは1人の経営者たれ」――ログの先の人を思う、LayerX CISO 星氏
-
2
どの区立中からも通えるオンライン将棋部発足 休日はリアル、プロ級も指導 東京都大田区
-
3
第50回:なぜ「優秀なマネジャー」ほど経営に嫌われるのか
-
4
スキルの向上だけでは成長は望めない――より重要になる「成長マインドセット」とは
-
5
「人間洗濯機」が高齢者施設に 福祉の現場に万博技術導入 人手不足解消や産業成長に期待
-
6
ITmedia エグゼクティブ勉強会スケジュール
-
7
「セキュリティは事業を活かす出汁、責任者はCIMOで目指せ」 - JTB 椎野氏
-
8
話題のチーズティーを飲んでみる
-
9
「レッドガス」時代の羅針盤【第三章】従来型グローバルサプライチェーン設計思想からの脱却
-
10
味の素社が挑む“dX”とAI駆動開発――“企画・開発・営業ができる人財”が新規事業を加速する
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー