ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
できる上司が気持ちよく部下に動いてもらうためにやっていること3選(1/2 ページ)
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
キーワードは「納得感」
部下に仕事を依頼したのになかなか動いてくれない。そんなときは、「いいからやりなさい」と強く言いたくなってしまうかもしれません。でも、強く言うのは自分にとってストレスですし、何より効果があまりないことが研究で明らかになっています。
2013年、ウエスタンイリノイ大学のクリストファー・カーペンターは、2000人を対象に心理学に関する42の実験を行いました。その結果、質問の最後に「たった一言」を加えるだけで、相手が「イエス」と答える確率が上がることを証明しました。
一体、どんな言葉だったと思いますか?
それは、「でも、あなたの自由です(But you are free)」という言葉でした。この一言を付け加えるだけで、相手が「イエス」と答える確率が2倍にも上がったのです。
この効果は、「But you are free」の頭文字をとって「BYAF法」と呼ばれています。もともと2000年にフランス・ブルターニュ南大学のニコラス・ゲーガンらの実験で初めて実証されたもので、それ以来、世界の研究機関で証明されたお墨付きの効果です。
あるショッピングモールで寄付を求めるという実験では、声掛けの違いで寄付に協力してくれる人が増えることが証明されました。寄付のお願いだけをして応じてくれた人は10%でしたが、寄付のお願いをしたあとに「寄付するのもしないのもあなたの自由です」という一言を加えただけで、なんと47.5%もの人が寄付に応じたのです。実に、約5倍もの差です。
なぜ人は「選択の自由」を与えられるとこんなにも協力的になるのでしょうか。それは、私たちが持つ「自律性(自分の行動を自分でコントロールしたいという性質)」によるものだと考えられています。つまり、「自分で納得した上で行動したい」という欲求のことです。
この法則をビジネスシーンに当てはめると、例えばこんな言葉を付け加えることでも同様の効果が期待できます。
(部下へ業務内容の説明をしたあとに)
「でも、最終的な判断はあなたに任せます」
「でも、やり方はあなたが決めてください」
「でも、あなたがいいと思うタイミングで先方に返してください」
このように、一方的にお願いするのではなく、相手の意思を尊重する姿勢を見せることが、自発的なアクションに結び付きます。さらに、自分自身で納得して動くことになるので、自然と部下の「やる気」もアップするでしょう。
「きちんと見てくれている」と実感できれば部下は動く
部下に何か依頼するとき、用件のみをメールなどで伝える人も多いでしょう。そのほうが無駄なく正確に伝わるように思えるかもしれませんが、その心配りが、逆に部下の取り組むハードルになっているかもしれません。
2009年、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校コミュニケーション研究科のサン・ボルカンと、サンディエゴ州立大学コミュニケーション学部のピーター・アンデルセンが、どんな声かけが人の行動を左右するのかを実験しました。
ショッピングモールやスーパーマーケットで、次の2通りの声かけでアンケートへの協力を依頼します。
A:「少しお時間よろしいでしょうか?」と呼びかけてからアンケートを依頼
B:「あなたは他人に協力的ですか?」と問いかけてからアンケートを依頼
この違いで、アンケートの回答率はどのように変わったでしょうか? 答えは……。
A:29%
B:77%
なんと、倍以上の差が生じたのです。
Bの「あなたは他人に協力的ですか?」と話しかけられた人たちのほとんどは、少し考えて「はい」と答えました。それにより、「自分は協力的だ」というセルフイメージを固めたことで、その通りの行動(=他人に協力的=寄付をする)を選択せざるを得なくなったのだと考えられます。
これは、メールなどの文章にも応用することができます。例えば部下にメールする場合、いきなり用件に入るのではなく、「〇〇さんはいつも仕事が早くて助かっています」と、相手の仕事ぶりを評価する一文を最初に入れてみてください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
JR東、磁気乗車券を2027年春に廃止 小型券はQR付き大型券へ、環境負荷軽減
-
2
富士通、新方式の量子コンピューター試作機を世界初開発 ダイヤモンドで計算精度を向上
-
3
AI画像認識で検査効率化、技能継承やロボ自律制御にも活用へ 東芝総合研究所の落合誠所長
-
4
「AI社員」活用、NECは無人部署 DeNAには17体、南場社長「けなげ」と太鼓判
-
5
「ビール化」するサントリー「金麦」、救世主になれるか 10月6日発売 関西で販売強化
-
6
顧客価値創出へのAIの貢献
-
7
「身代金は支払うべきか」――YKK APが7年越しに気付いた経営とセキュリティの視点のギャップ
-
8
鷹は、自らの爪・羽根・くちばしを折ることで、生まれ変わる
-
9
マイケル・ジャクソンはなぜ白い靴下を履いたのか?
-
10
第53回:なぜ、日本企業では「考えるマネジャー」が育たないのか──AI時代、「言われたことは得意だが、課題抽出や提案は苦手」な組織から脱する方法
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー