ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
リモートワークを円滑に進める5つのポイント――「立場の壁」を超えるデジタルコミュニケーション(2/2 ページ)
ポイント4:「ITお困り事相談チャネル」の導入
初期段階で取り入れたのが「ITお困り事相談チャネル」です。ITツールについて困ったことを質問し、分かる人が気軽に答えていくことでスレッドが履歴として残る。その履歴の蓄積は検索して読むことができるので、他の人の役にも立つというものです。
このチャネルには私もとても助けられています。誰かが困っているときにこのチャネルの中から当てはまるスレッドのリンクを送れば、それで解決してあげられるというのもとても便利です。
マニュアルとなると、自分の知りたいことを見つけるのはなかなか大変ですが、こうしたチャットで1問1答のような形で残しておけば、知りたいことをピンポイントで調べられます。誰かを助ける感覚でモノがつくられていく。こうした善意のコラボレーションが生まれるメタバースの在り方が私はとても好きです。
ポイント5:カルチャー変革のカギは「ボトムアップ」と「スポンサー」
「社内カルチャーを変える!」というと、なんだか大それたことに感じるかもしれません。「役職もついていない若手の自分に何ができるだろう?」そんな不安を持つ人もいるかもしれません。ですが私は、メタバースを含めたデジタルテクノロジーによって「ボトムアップ」の可能性が大きく広がったと感じています。
あなたがもし「ボトムアップ」で何かにチャレンジするときは、「スポンサー」を見つけることも大切です。ここでいうスポンサーというのは、お金を出してくれる存在というよりも「あなたのチャレンジに共感してくれる幹部クラスの人」を指します。
私はRidgelinez のリーダーだったので、「Slack導入」の場合は自分がスポンサーとして動きました。スポンサーとして社内の人に「僕はもうメールを使わないからSlackにしてね」と伝え続けていると「佐藤さんはSlackだったらすぐに話せるよ」とみんながいい出して、徐々に社内全体でもSlackが浸透していったのです。
さらに、デジタルテクノロジーはトライ&エラーが容易です。最初から莫大な費用をかけてツールを導入するとなれば、リスクも責任も大きくなってしまいますが、Saas型のサービスであれば無料で試せるプランが豊富です。
私もSlackの導入は、人数が限定された無料プランからテスト的に始めました。コストをかけずにチャレンジできれば、ボトムアップで組織を変えるチャンスも増えるでしょう。どんどん試して、本当にしっくりくるものを見つけてみてください。
上から指図されるのではなく、自分たちが本当にいいと思う環境を自分たちの手でつくっていけたら、会社はもっとおもしろくなります。ぜひあなたも、スポンサーになってもらえそうな人を口説いてチャレンジしてみてください。
Slackを導入して2年ほどがたち、私がおぜん立てをする必要もなく、ああしたい、こういう風に使いたいと、自主的にSlackを使ってくれる人が増えました。
同時に、定着するに従って投稿に関するクレームが入ることも出てきましたが、できる限り当事者が自主的に解決するようにお願いをして、大きな問題になりそうなときはSlack導入にかかわったメンバーが事務局として対応しています。
「仕事始めにはまずSlackをつなごう」という共通の感覚が定着し、メールを使っていたころに比べてコミュニケーション量は格段に増えています。Slackからどんな化学反応が生まれるのか? 今後がとても楽しみです。
今回はSlackを例に紹介しましたが、Slackに限らずデジタルテクノロジーは「思い立ったらすぐに、自分の理想に合わせて、立場を超えたコミュニケーションを可能にする」手助けをしてくれます。
もしデジタルテクノロジーに苦手意識があればエバンジェリストチームを立ち上げて得意なメンバーに協力してもらったり、部下が何かチャレンジしたそうであればスポンサーになってあげたりしながら、コミュニケーションの円滑化に活用してみてください。
著者プロフィール:佐藤浩之(さとう ひろゆき)Ridgelinezシニアアドバイザー
Ridgelinezシニアアドバイザー。ブロックチェーンベンチャー Digital Platformerアドバイザー。東京大学経済学部卒業。ニューヨーク大学経営大学院スターン校卒業。約25年にわたり、通信業界において放送と通信の融合や、モバイルペイメント事業、アジアでのJV運営などの新規事業立ち上げに関わる。NTTドコモの海外子会社CEOを歴任後、日本本社のマネージング・ディレクター、グローバル・パートナーシップ&イノベーション責任者として、NTTドコモが手掛ける世界中のZ世代に寄り添うVTuber「Tacitly」運営などに携わったのち現職。身近な事例をもとにしたメタバースの概念を研究しており、メタバースがひらくwell-beingなスマートシティ、新たな時代のコミュニケーションの在り方、Web3のもたらすパラダイムシフトに関する発信を積極的に行なう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「CISOは1人の経営者たれ」――ログの先の人を思う、LayerX CISO 星氏
-
2
どの区立中からも通えるオンライン将棋部発足 休日はリアル、プロ級も指導 東京都大田区
-
3
第50回:なぜ「優秀なマネジャー」ほど経営に嫌われるのか
-
4
スキルの向上だけでは成長は望めない――より重要になる「成長マインドセット」とは
-
5
「人間洗濯機」が高齢者施設に 福祉の現場に万博技術導入 人手不足解消や産業成長に期待
-
6
ITmedia エグゼクティブ勉強会スケジュール
-
7
「セキュリティは事業を活かす出汁、責任者はCIMOで目指せ」 - JTB 椎野氏
-
8
話題のチーズティーを飲んでみる
-
9
「レッドガス」時代の羅針盤【第三章】従来型グローバルサプライチェーン設計思想からの脱却
-
10
味の素社が挑む“dX”とAI駆動開発――“企画・開発・営業ができる人財”が新規事業を加速する
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー