P&G×Facebook出身の地方発ベビーブランドCEOが語る成長の本質。一般社員からスタートし、主力EC売上2倍へ(2/2 ページ)
EC売上倍のカギは、ケラッタ流「H.U.G.S」のフレームワーク
H.U.G.Sは、最初から掲げていた理念ではなく、日々の運用と改善を振り返る中で浮かび上がった「ケラッタらしい行動」を整理した4つの視点です。ECページの改善を探す習慣、小さなレビューもすくい上げる姿勢、迷ったらまず動くスピード、社内外で横につながって進めるスタイル──こうした共通の思考や行動を言語化し、その頭文字を取ったものが“H.U.G.S”という形になりました。現場で共有できるシンプルなフレームとして定着しています。
H(Habitualization:型化)
Hは、業務を“型化”する姿勢です。毎朝9時の「見回り会議」で、全員がお客様レビューやSNSの声を確認し、その日の改善へつなげる習慣を続けています。そして、新製品を企画する際には、アイデアからそれを形にするまでを管理する独自の「企画レビューシート」というものを使い、満たされていない顧客ニーズは何か、他社が解決できていない課題はどこか、品質と価格のバランスは最適かを一つひとつ言語化しながら進めていきます。いわば差別化を明確にするこのプロセスは、P&Gで学んだ製品のPODを磨き上げることと非常に似通っています。
U(Understand Consumers:ユーザー理解)
Uは、徹底したお客様理解です。ときに一文のレビューから製品の改良やページの改善がはじまり、ケラッタ製品の7割以上が、ママパパの声を起点に改良された製品として育っています。
Go Fast & Go Action(スピードと行動)
Gは、まず動くこと。お客様の貴重な声は「次に活かそう」ではなく即反映です。販売ページの作成も撮影も全て内製化しているので、製品の使い方が分かりにくいというお声があれば、手順を細かく説明する動画を社内で撮って即日SNSにアップすることもあります。また、工場とも直接やり取りしているで、何十製品もの開発・改良を並行しながら、通常1年かかるような新製品開発を平均6カ月、既存製品の改良も平均1カ月というスピード感で進めることができています。
Sync(共創)
Sは、社内外を横断した共創です。グループ会社やECモールと横でつながり、チームとしてお客様視点を磨いています。ケラッタは2022年に販路拡大や海外展開、デジタル化といった更なる飛躍とスケールアップを目指してMOON-Xと統合しましたが、MOON-Xの傘下には、私たちとは違う業界、それぞれのビジネスで豊富な知見やアイデアを持った会社が複数存在しています。これらのグループ会社同士がワンチームとなって、互いの成功事例や失敗事例をオープンに共有しながら、次の勝ちパターンを探るようにもなっています。
今後もメーカーが消費者に選ばれる続けるために行うこと
P&GとFacebookの経験から私が学んだ「本質」は、驚くほどシンプルです。
高度な戦略だけでは不十分で、お客様に寄り添い、誠実に向き合う、その姿勢を組織全体で積み重ねること。そして、その土台が整ってはじめて「H.U.G.S」のような型が力を発揮すると感じています。これからもケラッタの仲間たちとともに、お客様の日々の悩みや願いに寄り添いながら、長野から、日本中へ、そして世界へ、挑戦を続けていきます。
著者プロフィール:下村祐貴子
ケラッタ株式会社代表取締役社長兼CEO。
1980年兵庫県生まれ。2002年に神戸大学発達科学部を卒業後、P&Gに入社。
生産統括部門でキャリアをスタートし、2005年に広報部門へ異動。
P&G時代には、伸ばした髪でウィッグを作り、がん患者に提供する「きれいの力」プロジェクトをリードし、2008年にCEOアワードを受賞。
2010年よりシンガポール本社にてPRマネージャーとしてアジア地域の広報および「SK-2」グローバル広報戦略を統括し、4ブランドで市場シェアNo.1を達成。
2016年に帰国後、Facebook Japan(現Meta)の広報統括執行役員として、ブランドのコミュニケーション戦略を推進。
20年にわたるキャリアを経て、2022年に共創型M&Aにより経営統合されたベビー&マタニティブランド「ケラッタ株式会社」の代表取締役社長 兼 CEOに就任。
着任初期の3カ月間は、統合による組織不安を解消するため、自ら「平社員」として修業期間を設け、社員と共に現場を体験。その後の改革により、就任後2年間で売上は2倍に成長。
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