AIで太陽光発電所適地を選定 スタートアップ代表の堀圭佑さん 挑戦するなら早いほうが TOKYOまち・ひと物語
太陽光発電所の適地選びには、土地の特性や電力系統など、さまざまな条件が絡み合う。人工知能(AI)の受託開発事業を手掛けるデータプリズムテクノロジーズ(東京都文京区)は、そんな複雑な場所選びを手助けするAIエージェントを開発した。代表の堀圭佑さん(27)が会社を立ち上げたのは25歳の時。「挑戦するなら早いうちに」と、堅実な研究者気質の中に、起業家らしい一面がのぞく。
「営業と開発のシーソーが大変ですね」
スタートアップの常だというが、従業員は少ないため、展示会やイベントでの営業活動に忙しい。仕事を請け負うと人員を増やして開発に注力するが、それが終わるとまた案件の獲得に走る。もともとは売り込みよりも研究テーマに向き合い、没頭することを好むタイプだったというが、代表としてこなす業務量は多く、常にパソコンを持ち歩く日々だ。
医療工学への興味
平成の後期は、AI自身が大量のデータから特徴を拾い上げて予測を行う「ディープラーニング(深層学習)」が大きく注目された時期だった。千葉大工学部医工学コースに在籍していた堀さんは、講義でその言葉を聞き、「機械がデータから特徴を見つけられる」という仕組みに興味を持ち、独学で取り組み始めたという。面白みを感じたのは、「人によってばらつく判断を、AIを使うことで精度を上げながら平準化できる」ことだ。
そんな興味から、学部では肺移植をしたラットの検査画像から、その後の拒絶反応をAIを活用して予測する研究に取り組んだ。父が自動体外式除細動器(AED)などの医療機器メーカーに勤めていたこともあり、医療と工学を組み合わせた領域は身近だったという。
東大大学院に進むと、心房細動の治療を支援するAIの研究に没頭した。「カテーテルマッピング」「スパイラルリエントリー」「アブレーション治療」などといった一般にはなじみのない専門用語の数々―。堀さんの説明に熱が入り、分野に詳しくない記者にも一つ一つ丁寧に解説していく。「従来、人の計測では見えないものを見えるようにしたい」という思いが一貫しているのを感じた。
ブームに「焦り」
別のAIスタートアップでの勤務を経て、令和6年の夏に起業した。この決断の背景の一つに、生成AIブームへの「焦り」があった。多くの人にとっては生活や仕事が便利になる技術として受け止められている生成AIだが、堀さんは「チャットGPTなどが出てきて、自分よりも若い人たちが挑戦しているのを目の当たりにして、焦る気持ちが出てきた」という。「挑戦するなら早い方がいい」と、前職を辞め、起業を決めた。
現在はさまざまな企業と協働してAIの受託開発に取り組んでいる。中でも力を入れているのが、太陽光発電所の適地選定支援だ。
太陽光パネルや蓄電池の設置を行うための事前調査では、ハザードマップや農地情報、日射量や送電線の配置、電力系統の空き容量など、各種さまざまなデータを取りまとめるのに膨大な時間がかかる。そこでビッグデータを使い、AIが横断的に分析し、適地を判定するシステムを開発した。堀さんは「ユーザーに探させるのではなく、システムが(発電に適した場所を)提案する形を目指したかった」と話す。
医療工学研究からエネルギー分野へ。一つのジャンルにこだわっていられないと、忙しい日々を過ごす。堀さんは「この会社といえばこれだ、といわれるプロダクトを作りたい」と将来を見据えている。(山本玲)
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「大企業は一朝一夕には変わらない」 NTTデータ冨安寛氏がAI時代に重視する原理原則
-
2
なぜ答えが揺れ、堂々と間違えるのか ―― 確率で動く生成AIの正体
-
3
初心者向けの料理教室、男性受講生が過半数に 家庭での調理頻度も増加
-
4
ほんのちょっと心の持ちようを変えるだけで、人生も毎日も変わる
-
5
第55回:「誰が言ったか」で判断していないか──SNS時代、エグゼクティブに必要な「空気に逆らう力」
-
6
「現実にCtrl+Zはない」──フィジカルAI時代に企業が備えるべき新役務「AIスチュワード」とは
-
7
子供の夢をYouTuberからホワイトハッカーに! 具現化を進めるCISO - GMO 牧田氏
-
8
コミュニケーションの質が一変! 心理カウンセラーの「聞く技術」とトレーニング法
-
9
「仕方ないインシデント」まで全力を尽くせるか - さくらインターネット 江草氏
-
10
チェキの新製品、タッチパネル式大画面を初搭載 富士フイルムが2機種新発売へ
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー