AI、展覧会で書を語る 作品の背景詳細に、作者の意識を超えた指摘に驚きも 書の力
書展を訪れた人の案内をすると、「書はよく分からないから…」と消極的な言葉が返ってくることが多い。その「分からない」に対処するため、作品の横に「釈文」なるものをつけるのが一般的になっている。
しかし、漢詩・漢文ともなれば、それがまた読めない。やはり分からないのは楽しくない。そこで、AIで解説を作り、QRコードをスマートフォンで読み込むことで、解説を視聴しながら鑑賞できたらどうか、と考えた。
さっそく詳しい方にAI解説の作成を依頼し、8月に名古屋市内で行われた「第52回宏道書展」で導入した。私の作品「解衣槃礴(かいいばんぱく)」についてAIの解説はこう始まる。
「『荘子』に出てくる言葉で、衣服をくつろがせ、足を投げ出して坐(すわ)っている様をいう。そこから、世俗の礼儀作法や体裁にとらわれず、心のままに自由に創作に打ち込む、真の芸術家の在り方を表す言葉として使われるようになった」
こうした作品の背景は知る人も少なく、会場でもなかなか好評であった。
さらにAIは作品を「四文字を大きく二行二段に配置し、右側の『解衣』をやや大きく堂々と、左側の『槃礴』をやや圧縮しつつも太い筆致でまとめている」「あえて型にはまらず太く大胆に書くことで、内容と書きぶりを一致させようとした意図が窺(うかが)える」と読み解いた。
解説の制作に私は一切関与しておらず、正直、「そこまで言い切れるものか」と疑問に思う部分もある。
しかし、AIは「礴」の最後の渇筆のハライについて、「単なる字形の効果を超えて、言葉が語る『くつろいだ姿』を視覚的に表現しようとしたものである」とまで踏み込んで分析してみせた。これは作者である私の意識を超えた指摘であり、いささか驚かされた。
(産経国際書会名誉理事長 風岡五城)
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