2007年は深刻な問題が、余りにも多い年だった。2008年はこれらを克服しなければならない。今こそ、ITの出番だ。
まず、「偽」の字に表された2007年のそもそもの代表例は、食品・建築建材・人材派遣などの企業の反倫理的行為である。トップ・経営陣が謝罪で頭を深々と下げる様は、日常茶飯事となり、謝罪そのものさえ倫理観に欠けるケースが見られた。
企業は、そんな後ろ向きのことで時間をとられている暇はないはずである。米国発サブプライム問題、原油高、円高、激化するグローバル競争、労働市場の流動化、規制緩和や強化などなど厳しい状況下で、企業は必死に収益を確保し、生き残りをかけねばならない。
その他に、官僚不信、悪質・凶悪な事件多発など、国民は怒りが収まらない。残念ながら、それにITも加担する。インターネット上のいわれのない非難・中傷・陥れ・裏切り、金のための詐欺・悪質サイトなど、人間の良心はどこへ行ってしまったのか。
環境問題も深刻である。2008年は、京都議定書の第一約束期間の始まりである。しかし、2005年のわが国CO2排出量は基準年の1990年比8%増加で、2010年までに6%削減するという目標達成が極めて困難な状況だ。
世界の平和を脅かす出来事も多かった。当事国のエゴが出ているのではないか。そこに基本的に「人間」無視の姿勢が感じられてならない。
以上から、問題は次の通り整理される。企業の倫理観・CSR(社会的責任)をいかに果たすか、厳しい環境の中で企業はいかに生き残るか、環境問題をいかに解決するか、そして全ての基本をなす人間重視・良心の復活をいかに実現するかである。
2008年は、ここにこそIT活躍の場がある。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授