年間10億ドルを投資するなどSOAの発展に並々ならぬ力を注ぐIBM。格好の場所ともいえるラスベガスで「IMPACT 2008」が開幕した。
アメリカンドリームを密かに夢見て世界中から多くの人々が詰め掛けるネバダ州ラスベガス。その中心部に位置するMGMグランドホテルで4月6日(現地時間)、IBMのSOA(サービス指向アーキテクチャ)カンファレンス「IMPACT 2008」が開幕した。今年で2回目となる同イベントは、前回の約2倍となる6000人を集めた。「ビジネスとIT」を主要テーマに、経営者層やユーザー企業、パートナー企業に向けてビジネス視点からSOAの有用性を訴えかけた。
基調講演に登場したソフトウェア事業を統括するスティーブ・ミルズ上級副社長は、IT部門では以前からよく知られているSOAに、昨今ビジネス部門からも高い関心が寄せられており、大きな変化を与えていると述べた。今後のSOAは「ITとビジネスの両輪」で進化していくとミルズ氏は説明した。その背景の1つに、アーキテクチャの拡張性(スケーラビリティ)の高まりがある。これまではSOAを構築する際に容量要件などが問われてきたが、同社のSOAの主力製品で、開発から、受注・製造・在庫・発送・請求・会計までのすべてのプロセスを包括的にサポートするソフトウェア基盤「WebSphere」を使うことにより、データ量やトランザクションの拡張性が高まり、ビジネスプロセスを統合できるようになった。
SOAは決して生やさしいものではないという。しかしミルズ氏は、「(SOAは)グローバル規模でビジネスするための手法であり、公共機関や民間企業に限らずよりROI(費用対効果)を上げるサービスだ」と強調した。
「SOAのインフラストラクチャがビジネスとITを結びつける」――そう語るのは、IBM Business Consulting Services and SOAのゼネラルマネジャーであるロバート・レブランク氏。ビジネスプロセスだけでインフラが未整備であればうまくいかないし、インフラが優れていてもビジネスをサポートするものでなければ意味がないという。さらに、ビジネスにおいてはM&Aや新しい製品開発の増加など今まで以上にスピードが要求されるようになった。だからこそ「SOAが重要」とレブランク氏は強調した。
IBMはSOA市場でリーダーであるという強い自負を持つ。IT調査会社のWinterGreen Researchによると、同市場でのシェア率は半数を超えている。また、WebSphereをはじめ、Lotus、Rational、Tivoliなどのソフトウェアを含むSOAポートフォリオに年間10億ドルを投資しており、BRICsと呼ばれる新興国でもSOA製品の売り上げが伸びているという。
レブランク氏は「IT関連のみならず、ビジネス系企業や部門にも訴求していく。今後はさまざまな産業にSOAが広がっていくだろう」と展望を示した。
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