日々奮闘するビジネスマンに悩みは絶えない。中でも特に厄介なのは、上司や部下に対する問題など職場における悩みである。新連載ではビジネスコーチングの見地から解決策を施していく。
わたしはこれまで、企業内で実施される階層別研修、1対1でのエグゼクティブコーチング、弊社が運営するスクールでの講師などを通じて3万人以上の経営陣やリーダーの行動変革を支援してきた。お会いした方々は、会社から言われて参加される人もいれば、自発的に参加される人もいる。業種も職種も年齢も多種多様である。唯一の例外は皆、部下を抱えたリーダーであるということである。
今回から「社員の悩み相談室」と題して、研修などを通して実際に出会った人たちの悩みを取り上げながら、わたしなりの解決策をお伝えしていきたい。
第1回は「働かないバブル世代に悩む部下」をテーマとした。数多くの企業、数多くのビジネスマンを長年にわたり見てきた経験から、世代によって仕事に対する姿勢がかなり異なるということを強く実感している。いわゆる団塊の世代や、高度経済成長期の前後に入社した世代、バブル期に入社した世代、バブル崩壊後の氷河期に入社した世代など、それぞれ仕事とプライベートのとらえ方、人とのかかわり方が大きく違う。
まずは、以下の事例を見てみよう。
入社7年目のS君は、B部長に悩まされていた。
B部長は経営トップから目標が提示されても、部下に任せてばかりで、自分で何かをしようという気がない。
にもかかわらず、部下が少しでもミスを犯すと「何をやっているんだ、君はいつもそうなんだから!」と怒鳴り散らす。
S君はB部長にほとほと困り果てていた。
わたしは研修を通して、B部長のような上司を持つビジネスマンに何人も出会っている。彼らは上司とどのようにかかわれば良いのか悩んでいることが多い。
一概には言えないが、B部長のような上司は、ほかの世代に比べてバブル期入社(1980年代後半〜1990年代初頭)の世代に多く見られる。彼らは次のような傾向が強いと感じている。
依存型である
不満や屁理屈を言う
人の粗探しをする
バブル期は、現在からは想像もできないような就職売り手市場であり、企業がこぞって大量採用を行った。上司からの指示を忠実にこなす一方で、同期が多かったことが影響しているのか、自ら率先して何かをしようとはしない傾向にある。依存型である人が多く、上司だけでなく、部下にも依存する。同時に、会社への依存心も強く、会社から何かを与えられることを強く期待している。ところが、会社が期待外れな対応をすると不満を持ち、それを口にする。
このような人たちは、見た目はソフトで、人当たりが良かったりする。しかし、厳しい現実や高い目標を突きつけられると逃げ出してしまう。そのため、何か問題が起きたとき、自分の責任を回避してしまう人も多いのだ。不満や屁理屈が多く、自分には優しいけれど、他人には厳しい傾向があるため、部下の粗探しをすることも多い。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授