結果の出ない部下をどうするかビジネスマンの悩み相談室(1/2 ページ)

結果を出す人にはある要素が共通して見られる。上司は今は成果が出ていなくても、そのような部下がいたら、その個性を見抜いて結果を出す方を教えてあげる必要がある。

» 2011年07月22日 10時31分 公開
[細川馨(ビジネスコーチ),ITmedia]

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 数回に分けて「ぬるい社員」に対してどのように対応したらいいのかを話しているが、今回はいくらやっても結果が出ない部下について話してみたい。

<事例>

 ある食品メーカーの大口顧客営業部のC部長は、部下のH君は人懐っこくて元気があり、とてもいい人材だと考えている。ただ、成績がなかなか伴わず、どうにかしてあげたいと思っている。

 C部長は、H君に話を聞いてみた。

 C部長:H君、先月、先々月と売り上げ目標を達成できていないね。先月末にいろいろ話し合い、できることをやっていこうという話になったけれど、今月も成績はよろしくなかったね。原因は何だと思う?

 H君:先月話し合った際に、1度伺ったクライアントをそのままにせずにフォローするようにと指示されたと思います。なので、メールを送ったり、再度訪問したいと伝えたのですが、取り合ってくれないのです。

 C部長:相手はどんなものが欲しいと言っていたかい?

 H君:高齢者向けの施設が増えたので、そこで活用できるものが欲しいと言っていました。

 C部長:それについて何か提案をしたか? 何か相手にとって役立つ情報があると伝えたかい?

 H君:いえ、弊社はその部門はあまり強くないですし、何も思い当たるものがありませんでした。でも頑張ったのです……。


結果の出る人とでない人の見分け方

 結果が出る人とでない人にはどんな違いがあるだろうか。わたしは成果が出る人には次の要素があると考えている。

1、自分が人生の主役

2、結果のみを問う

3、スピード

4、行動がすべて

5、先を見越す

6、多方面から見られる

7、物語を語れる

 第1に人生の主役は自分であると考えられることが必要である。自分ができることもできないことも他人のせいにせず、自分が人生の主役だと考えるのである。一方、自分の人生には自分で責任を持つということを認識している。

 第2に、成果の出る人は結果のみを問うのである。もちろんプロセスもある程度は大事だが、結果を残さなければビジネスは成り立たない。「頑張った」と言えば、聞こえがいいが、結果が出なければいけない、結果が重要であることを自覚しなければいけない。そして、この結果についてだが、自分についてももちろんそうだが、人にも成果を出す、人の成果に貢献することが大切である。

 第3にスピードである。世の中の変化が激しい中で、最も求められるのはスピードである。ゆっくりした人とせっかちな人のどちらがいいかと言えば、せっかちな人である。もしすぐに取りかかれないのであれば、「今はできていませんが、いつまでには必ずやります」と示すことが大事である。

 第4に行動できるかどうかである。いろいろと頭で考えることもあるが、行動を起こせるかどうかが大きなカギを握っている。行動をしなければ、成果も出ないどころか、何も起こらない。

 第5に先を見越せる力が必要になる。今日のことではなく、来週、来月、3カ月後のことを考えて行動すべきである。

 第6に多方面から物事を見られる力も重要になる。1つの事象をある一面から見て決め付けるのではなく、別の方向から考える力が求められる。

 最後に、物語を語れることである。顧客に対して「購入することでこのような変化がある」「このようなメリットがある」など物語を語るのである。

 H君の場合、何が足りなかっただろうか?1つには結果へのこだわりである。「頑張っている」と主張しているのも、「頑張っているから、相手が悪い」といった感じでとらえている。あくまでも自分に責任があることを自覚しなければならない。

 また、多方面でみられる姿勢も欠けている。1つの出会いを次につなげるには、自分がよく分からない場合には他の人に意見を聞いたり、アドバイスを求めたりするなど、「うちはダメ」と決め付けるのではなく、あらゆる側面から考える必要がある。

 一方で、物語を語れるという点も不足している。御社にこのようなニーズがあり、「弊社なこんなことを提供できる」など物語を語る力が不足しているといえる。

 なお、少し余談になるが、結果が出る人は、コミュニケーションがうまく、一緒にいて楽しい人である。できない人は内向的な人が多い。できる人は外向的であり、人間的な魅力がある。こだわりがあるし、好奇心があるし、探究心がある。

 上司は今は成果が出ていなくても、そのような部下がいたら、その個性を見抜いてやり方を教えてあげる必要がある。

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