部下への過剰配慮は「ホワハラ」 早期離職につながる懸念も 「健全な負荷」が成長機会に
企業で上司が部下の負担に過剰に配慮した結果、成長機会を奪ってしまうことが「ホワイトハラスメント」として認識され始めている。中途採用の社員の約14%がホワハラを経験したことがあるとの調査結果もあり、早期離職につながる恐れも指摘される。若手や経験の浅い社員が能力を発揮できるよう、「健全な負荷」として適切な仕事の与え方を組織内で検討し直すことが重要となりそうだ。
ハラスメントのうち、セクハラやパワハラなどに比べてホワハラの認知度はまだ低いものの、社員の意欲に無視できない影響をもたらしている。就職情報会社マイナビ(東京)が昨年12月、中途入社1年以内の20~50代の正社員1446人から回答を得た調査では、ホワハラだと感じた経験がある人は13.6%いた。
ホワハラ経験者のうち今後1年以内に転職したいと思う割合は71.4%に上り、未経験者より23.3ポイント高かった。「先輩が先回りして全て行ってしまった」(20代女性)、「仕事が途中なのに定時だから帰ってといわれた」(20代男性)といった声があった。
同社キャリアリサーチLab研究員の嘉嶋麻友美氏は「成長や活躍に対する本人の意向と、周囲による配慮の間にズレが生じた場合に不安を抱くことが推察される」と指摘する。
企業の取り組みはどうか。サントリーホールディングスは、新任管理職への研修でアンコンシャスバイアス(無意識の思い込みや偏見)に関するワークショップを実施。広報担当者によると「部下への過剰な配慮が意図せず成長機会を損なう可能性があることなどへの気づきを促している」という。
ある大手銀行は、ホワハラに特化した対策は講じていないが、上司と部下による1対1のミーティングを定期的に実施するなど、日常的なコミュニケーションを重視。社員一人一人の業務状況や考えを把握し、今後のキャリアや目指す方向性を共有し、業務が本人の意欲や成長につながるよう意識しているという。
採用・研修サービス業、ジンジブ(大阪市)の新田圭常務によると「労働時間の厳格な管理が裏目に出て、成長を望む社員が隠れて業務を行う企業が散見される」。企業が講じるべき対策について、新田氏は「部下の可能性を信じて本音で向き合う『逃げない育成』を実践することで、若手が健全な負荷の中で自らの可能性を広げられるようにすべきだ」と訴える。(田村慶子、井上浩平)
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