どの区立中からも通えるオンライン将棋部発足 休日はリアル、プロ級も指導 東京都大田区

東京都大田区は今年度、28ある区立中学校を結ぶ「オンライン将棋部」を発足した。存続が危ぶまれる部活をネットワークで支える珍しい試みだという。将棋は、藤井聡太六冠や伊藤匠二冠ら若手棋士の躍進で話題には事欠かないが、競技人口は低迷。将棋部がない中学校も多くなったが、空間的な制約を超越。さらに休日にはプロ級の指導も受けられる環境を整えて質的な魅力アップも図った。将棋部復活の妙手となるか−。

» 2026年07月22日 09時43分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 東京都大田区は今年度、28ある区立中学校を結ぶ「オンライン将棋部」を発足した。存続が危ぶまれる部活をネットワークで支える珍しい試みだという。将棋は、藤井聡太六冠や伊藤匠二冠ら若手棋士の躍進で話題には事欠かないが、競技人口は低迷。将棋部がない中学校も多くなったが、空間的な制約を超越。さらに休日にはプロ級の指導も受けられる環境を整えて質的な魅力アップも図った。将棋部復活の妙手となるか−。

photo フェース・トゥー・フェースでの「感想戦」が行える(東京都大田区提供、画像の一部を処理しています)

 レジャー白書(日本生産性本部)によると、令和6年に1度でも将棋を指した「参加人口」は430万人で昭和57年の2260万人と比べ約5分の1。将棋を指せる教師が減れば部活が減り、ますます子供の将棋離れが進む負のスパイラルにある。大田区によると、28校のうち将棋部があるのは8校で、「これまで20校の生徒は部活で将棋をやりたくてもやれなかった」。

 オンライン将棋部では、平日の2日は部員たちは授業などで使っているタブレットで、自宅から仮想の部室に参集。指導者の監督の下で、詰め将棋や部員同士の対局などを行う。対局後に戦いを振り返る「感想戦」では画面に両者の顔が現れる凝りようだ。そして土曜日にはリアルに集まって、相手の表情や駒の音なども感じながらの実戦を積む。

photo 土曜日に行われるリアルの将棋部。手前左で生徒3人と指導対局しているのが元奨励会三段の坂井信哉さん=4日、東京都大田区(原田成樹撮影)

 また、指導対局が充実している。運営する将棋教室講師の細谷優人さん(26)はアマ四段。月3回程度参加する坂井信哉さん(33)は元奨励会三段で、直近のアマ竜王戦で4位に入賞した。従来の部活では会えないレベルの人たちが胸を貸す。

 区によると、昨年、小学校高学年も含めた体験会を行った際には50人以上が集まった。まだ部員は16人だが潜在需要はもっとあるとみる。唯一の女子生徒(2年)は「小学生の頃に将棋教室に通っていた。中学に将棋部がなかったが今年度にこれができたので入部した。坂井先生の指導で強くなりたい気持ちが高まる」と話す。同じく経験者の2年男子は、5月に将棋部の存在を知って仮入部中だ。「弟らとやってもワンパターンなのでほかの人とやりたかった」という。将棋教室に通う児童は一定数いても、中学に将棋部が少ないことが続ける上での壁だったが、うまくつなぎ役を果たせている。

不登校生徒にも

 区では、オンラインなら不登校の生徒にも機会が与えられると期待している。実は運営する細谷さんも不登校経験者だ。「家を出て『場』に行くのが怖いという生徒がいる。部活から徐々に学校復帰につなげられれば」と話す。将棋盤を挟むことで生まれる他者とのコミュニケーションの効果にも期待する。

 同区では、2年前に同様のスキームでダンス部も発足している。少子化と嗜好(しこう)の多様化、教員の働き方改革も進む中で、部活のあり方を探るモデルケースとなりそうだ。(原田成樹)

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