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【第1回】任務を終え、颯爽と去る米平和部隊のITスペシャリストたち(2/2 ページ)

米平和部隊の幹部らに与えられたチャンスは、長くて5年。部隊で働ける在職期間が限られていることは、マネジメントの継承を芸術的なものに変えることになる。

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平和部隊で働く

 CIOが打ち出したIT3カ年計画の重圧に耐え切れず、部下が次の仕事を求めてオープンに就職活動を始めても、アンダーソン氏はまったく動じない。イリジウム・サテライト、ベライゾン、アクセンチュアなどのITやビジネス部門で管理職を務めてきたアンダーソン氏にとって、それはありふれた光景だからだ。

 「ここでは仲間が去ることは日常の出来事。退職も離職もほとんど計画されたものだから」と、アンダーソン氏。むしろそれらを事前に知ることができるため、慌てふためくことがないとか。「空席が埋まるのを待つような姿勢では、スタッフ管理を機動的に行うことはできない」と言う。

 採用という側面からすると、連邦政府におけるユニークなステータスということもあり、平和部隊への志願者が不足することはない。米国人ボランティアによって発展途上国の社会基盤整備を支援するために、61年、ジョン・F・ケネディ大統領の下、独立した連邦政府機関として創設された平和部隊は、政治情勢に左右されずに活動することができる。

 当初、部隊は主に子どもの教育と農業指導、飲み水の確保などの援助活動を行っていた。現在は、エイズ予防の広報、ITインフラの整備、ローカル産業の振興などにも力を入れている。73カ国で7700人のボランティアが活動中だ。

 ワシントンDCの本部で働くITスタッフは前線で活動することはないが、後方支援に誇りを持って携わっている。アンダーソン氏も、現在の年収は民間企業に勤めていた時の年間のボーナス額より少ないものの、仕事に崇高な使命感を持っており、やりがいを感じている。

 ほかのスタッフもアンダーソン氏と同じように、この仕事に引きつけられた人々だ。最近も上級職の募集に対して100通もの履歴書が送られてきた。そのうち、最初の選考で57通が落とされ、面接まで進んだのは7名。最終的には2名に絞られた。いずれも民間企業の上級エグゼクティブクラスの優秀な人材だった。

※本稿の内容は2007年2月時点となる。

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