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日本ユニシスが挑む“正しい”年功序列(2/2 ページ)

バブルの崩壊以後、米国流の成果主義を導入する企業が相次いだ。だが、ここにきてその弊害を指摘する声は少なくない。日本ユニシスは過去に導入した成果主義の人事考課制度を見直し、“正しい”年功序列を目指しているという。

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 新人事制度では「社員が充実感と誇りを持てるようにする」と「安心して働くことができるようにする」という2つの理念をうたっている。これらは、代表的なモチベーション理論であるF.ハーズバーグの二要因理論における動機付け要因と、衛生要因を利用したという。

 「自己申告制度」や「自己啓発支援制度」など自己実現のサポート策が前者に当たり、後者では適正な報酬水準の実現やメンタルへルス対策、育児支援など福利厚生策が整備されていると、これを機に改めて整理した。

 「やる気の源は、決してお金だけではない。確かに低すぎれば問題だが、適正水準を満たしていれば、仕事を通じた満足感によってモチベーションは左右される。新たな人事考課制度では、上司を部下が評価し、上司の問題点を洗い出せるようにした。これにより、上司が部下のモチベーション削ぐことを防止できるようになるはず」(佐伯氏)

正しい年功序列を目指す

 改定人事制度の定着に向け、啓発活動にも余念がない。同社ではこれまで、人事制度改定の説明会を全国で36回実施したという。うち、佐伯氏は25回に出席し、社員に直接新たな人事制度の根底にある社員の学習を通じた成長の重要性を訴えた。

 社員を評価する立場となる部長クラス約100人にも籾井社長が直接「経営・組織運営のココロ」を訓示。部長以下の管理職に対しても全国で評価者研修を36回実施した。

 人事制度の改定に向けた一連の取り組みを通じ、佐伯氏は「企業は人なり」との思いを強くしたという。すなわち、経営とは人(社員)を生かすことであるわけだ。

 佐伯氏は今後、日本ユニシスが社員を生かせる存在であるために、「人事制度の運用に注意を払う」という。これは、いくら優れた制度でも、運用で問題が生じた場合には利用を継続することはできないからだ。

 特に評価は、処遇や昇格・昇進の材料となり、社員の人生を大きく左右しかねない。今回の人事制度の改定を終えて以後も、制度の陳腐化を避けるために試行錯誤を続ける計画だ。

 「多くの日本企業の人事制度の悪かった点は、“年序列”だったこと。年功序列の“功”、すなわち社員のがんばりを人事に反映できていなかった点にある。結果を評価し“年功序列”を実現できれば、社員のモチベーションの向上も期待できる」と、佐伯氏。

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