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【第9回】疲弊するIT部門(2)〜今のシステム部門は現場をも見ているか三方一両得のIT論 IT部門がもう一度「力」をつける時(2/2 ページ)

変わっていく業務の現場、システムに対するニーズ。変わっていけないIT部門。どこを目指して走っていけばいいのか。システムと人のバランスをとりながらサービスを提供できる組織を考える時がきた。

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 そこで、今後の企業のIT組織構造について考えてみたい。

 IT部門はどこを目指して走っていけばいいのか、目標を明確にしなければ施策も実行組織も決まらない。私たちが目指す企業システムとはどういうものなのだろうか。

 それは今の守勢一方の体制から、攻守のバランスが取れた体制への転換することであろう。個別最適の集合体に大多数の要員を取られている現行の状況を、最小限の要員で保守できる体制を実現しながら、経営に寄与できるIT基盤を整備する個別最適と全体最適を両立することだ。

 例えば、SOAのような考え方がこの手段になるかもしれない。しかし、SOAだけで実現できるかは疑問である。

これから必要とされる人材

 それでは、このようなシステム構造を実現するにはどのような組織が必要なのか。

 これからのIT部門に必要なのは、現場の人の行動心理が読めて、ユーザーニーズを先取りして今後必要されるサービスを実現するシナリオを描ける人である。そして、仕組みをタイムリーに構築できる人である。しかし、このユーザーニーズも外的要因で変化していく。システムと人のバランスを微妙に保ちながら最適なサービスを提供し続ける仕組みを考えた方がいいだろう。

 そのためには、最新の技術動向、近未来に実現されるだろう技術(ハード、ソフト)などに精通し、最新技術を駆使して現場に提供できる仕組みを構築できるIT部門になる必要がある。企業の事業形態の変化を予測し、今後の経営戦略に必要とされる武器を企画できる部門などが新しく組織しなければならない。

 この組織をどのようなシナリオで実現していくのかがポイントになる。

 現行のパワーでも業務量が多く、追いつかない状況なのに、いかに新しい体制にシフトするシナリオを作っていくかは難しい。ちょっとやそっとの工夫ではだめだ。ハードのリプレイス、ソフトのバージョンアップ、システム再構築というタイミングを活用して新しい仕組みを取り入れて少しずつ人材を育成していく。

 新体制をつくるためではなく、システムのメンテナンスを繰り返して行くことにより、新体制への余力ができ、攻守のバランスが取れるシナリオが必要である。そのために、まずコアになる仕組みを作る必要がある。これが「SOAの種(たね)」と言うものだと思う。

プロフィール

岡政次(おか まさじ)

ウイングアーク テクノロジーズ株式会社 協創企画推進室

三重県出身1959年生まれ。1977年シャープ株式会社に入社。本社IT部門に在籍、10年強の新人教育、標準化・共通システム化を担当。さらにシステム企画担当として、ホスト撤廃プロジェクト、マスター統合、帳票出力基盤の構築等に携わる。2007年4月、ウイングアークテクノロジーズ株式会社に入社。現在、経営・エンドユーザー・IT部門の「三方一両“得”」になるIT基盤構想を提唱し、「出力HUB化構想」を推進する。


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