学業に支障のない採用活動を 日本IBM:欲しい人材をどう採るか(2/2 ページ)
「売り手」といわれる昨今の新卒採用マーケット。いまIT業界で働く若者にはどのような資質が必要とされているのか。特集「欲しい人材をどう採るか」では、各社の戦略や取り組みから読み解く。
ダイバーシティーを共有
――市場の変化により、ここ数年で応募してくる学生の質や意識に違いは見られますか?
杉内 世の中では「安定志向の学生が増えた」などといわれていますが、当社を希望する学生に関しては大きな変化は見られません。学生にとってIBMはイメージがつかみにくいようで、受け身ではなく自分から社会を変化させたい、サービスや製品を生み出していきたいと考える人たちが多く集まります。そうした学生は毎年コンスタントに集まっている印象があります。
――人材採用の戦略において、IBM全体と日本法人の違いはありますか?
杉内 日本ならではという独自の方針は打ち出していません。外見上の違いや内面的な違いにこだわらないという「ダイバーシティー」の考え方を全社で共有しているので、多様性を尊重します。しかし、各国それぞれに市場やお客様の特徴があるため、日本の文化にひも付いた人が好ましいです。基本的な部分でいうと、日本語を話せることでしょうか。
――人材獲得に関して、現状で課題に感じていることは何ですか?
杉内 各企業の採用活動の時期が年々早期化しており、学生が企業の選択や仕事の適正などについて考える期間が短くなっている点です。日本IBMでは、インターンシップでの就業体験などによって現場を知る機会を与えていますが、応募者全員を受け入れているわけでもないため、やはり仕事を深く学ぶ機会は少ないと言わざるを得ません。
――そういった学生に対して、入社前にスキルを身に付けさせるなどのフォローを行っていますか?
杉内 ITスキルや英語などの研修を受けたいという学生は非常に多く、毎年よく問い合わせを受けます。しかし、日本IBMでは学業を優先しているため、入社前に内定者全員を集めて研修などを実施するということはありません。
ただし、「内定者アドバイザー」と呼ばれる先輩社員が学生に対して、キャリアの方向性や必要なスキル、仕事に対する不安などを個別にフォローする仕組みは用意しています。
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