【第2回】ロハスはビジネスになり得るか?:ブランドの達人が語る(2/2 ページ)
社会や環境への貢献を目的とした商品やサービスが相次いで登場している。企業がイメージを向上するための一方的な戦略ではなく、消費者のニーズの高まりが大きく影響しているという。
ロハスブームに見るトレンド
また「ロハス」というキーワードがトレンド化し、ロハスカフェに、ロハスレストラン、ロハスマンション、ロハスホテルなど、さまざまなビジネスが生まれてきている。
この動き何かに似てないだろうか? わたしが思うに、ひところのデザインブームに良く似た面を感じる。
auのデザインプロジェクトから派生したプロダクトデザインブーム、「amadana(アマダナ)」や「±0(プラスマイナズゼロ)」といった家電のデザイン化、森田恭通さん、片山正通さんを中心としたインテリアデザインの洗練化、カーサブルータスから派生した建築デザインのトレンド。デザイナーズマンションにデザインホテル。
もちろん以前からデザインはあり、デザイナーもいたはずだが、近年のブームと日本人のマインドが連動したのは、ことデザインにおいてはここ数年のことだろう。とはいえ、今まで何の環境問題にも取り組んでいなかった企業がロハスだ、エコロジーだと言って、生活者の心をとらえられるわけがない。もともとロハスを志向する環境問題や健康に関心の高い人たちは、企業の姿勢や商品の品質には知識や見識があるはずだからだ。
ボルヴィックのように、企業も消費者も満足し、経済行動に連動して社会や環境に貢献できるような活動がさまざまな企業から発生したとき、初めて持続可能な社会を実現するための仕組みが成り立ったと言えるのではないだろうか。
プロフィール
坂井光(さかい ひかり)
ブランドデータバンク株式会社代表取締役
1973年1月30日生まれ。東京都出身。株式会社西武百貨店を経て、1997年株式会社ウォータースタジオ取締役に就任。2005年4月より現職。株式会社ネットマイル、チームラボ株式会社と業務提携を行い、一般生活者3万人の持物/嗜好状況をデータベース化し、Web上で閲覧できるASPタイプのマーケティング・サービス「ブランドデータバンク」をリリース。導入実績は国内大手メーカー、大手広告代理店を中心に90社超(*2008年6月現在)。ブランドデータバンクのサービスをベースに、大手企業向けにマーケティングコンサルティングも行う。
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