日本オラクルは8月7日、SOA(サービス指向アーキテクチャ)のコンサルティング新サービスに関する説明会を開いた。社長執行役員 最高経営責任者(CEO)の遠藤隆雄氏は、日本でSOAが進まない最大の原因は「投資効果がすぐに表れないことにある」と述べた。一方で、企業がグローバル競争に勝ち抜くためにはIT投資によるシステム、インフラ整備が不可欠だと強調した。
なぜ日本企業にSOAは受け入れられないのか。遠藤氏は次のように説明する。「最大の理由は、導入の過程においてどれほど効果が出ているか目に見えず、メリットをすぐに享受できない点である。SOAを進めるためには長期的なビジョンを持たねばならないが、経営トップはすぐにROI(投資収益率)を求めるため、どうしても先行投資には消極的になってしまう」。また、SOAの指すサービスという概念が分かりにくいことや、IT部門が主導で実施していることなども阻害原因という。遠藤氏は「(SOAは)ビジネス部門とIT部門の連携が必要だ。業務プロセスの柔軟性を高めるためのプロジェクトが企業で立ち上がれば、SOAの導入もスムーズになる」と力を込めた。
セールスコンサルティング統括本部でSOAアーキテクト本部長を務める的場大輔氏も続く。「日本企業の多くはSOAを検討しているにもかかわらず、進め方が決まらなかったり、効果を経営層に説明できなかったりと一向に取り掛かろうとしない。一方で、先行する企業はあれこれ考えずに始めてしまっている」。このようなフットワークの軽さも成功の秘けつだという。
このたび同社が提供を開始するのは「SOA Insight」というコンサルティングサービスで、SOAの専任部門が対話を中心に約2〜4週間かけて導入の進め方を顧客にガイドする。的場氏は「SOAの実現には製品と経験に基づく技術力、そして高度な知見が必要となる。特にノウハウともいえる知見を提供するというのが大きな特徴だ」と意気込んだ。
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