「世界」という名の船に乗って:【新春特別企画】コミュニティーリーダーが占う、2009年大予測(2/2 ページ)
世界的な経済危機に直面したことによって、多くの国の人々がお互いにつながり合い、「世界」という名の船に乗っていることを再認識できた。今こそ自分にとって本当の価値とは何かを見つめ直すべきだという。
本当の価値を見つめ直す
今日のわたしたちは、自分の置かれている状況に行動を合わせようと努めているところであり、思考方法や価値観も変化しつつあります。ここで1つ、重要な自問自答をしてみましょう。「人生においては、何に価値があり、何が重要なのだろうか」と。支出を切りつめ、今までより少ないお金で生きていかねばならなくなったとき、さらにはそうした窮乏生活がこれからも続くと分かったとき、わたしたちは自らの生活をあらためて振り返ります。どれほどたくさんのぜいたく品を消費し、流行品をとっかえひっかえする状況に慣れ親しんできたのかが、身にしみて分かるでしょう。
今一度人生の焦点を絞り直すことで、そんなモノがなくても、自分のステータスや個人的な価値観を表せるようになるはずです。ブランドや流行品によって自らを定義するのを徐々にやめていくにつれ、人の容貌や個性の表現が従来以上に大切になります。とりわけ不況下では、人は他人と違った存在になろうとする傾向があります。進化や変化のペースが速くなっている気がして、そうした世界に自分を常に合わせていくことが当たり前だと考えるようになり、再び何かを学ばなければいけないという気持ちになるのです。人々の開放性も高まり、情報をやり取りするプラットフォームとして、インターネットが最も重要な存在となるでしょう。従来のメディア企業も、一部は生き残るはずです。
自分のいる社会を大切にする
もちろん、別の意見もたくさんあります。例えば、わたしたちは皆、地元志向を強めていき、困ったときには助けてくれる昔ながらの地域社会で過ごす時間が長くなると予想する声もあり、そうした兆しは実際に見られています。特に、自国の製品を買ったり、国内旅行をしたりするケースが増えているようですね。隣人や地元のコミュニティーとの結び付きは、ますます強くなると思います。
一部の人々は囲いを作って、自分たちを外部から守るために利用するかもしれません。ナショナリズムや保守主義的な傾向を強めていく人もいるでしょう。ですが、国際人となることでいろいろなメリットを得てきた経緯を考えるに、自らを囲い込み、自分の可能性を制限してしまうのは好ましくありません。世界とのかかわり合いと地域社会のサポートのバランスを取ることが、極めて大切なのです。互いを頼りにし、そうした関係を生かしていく必要があります。他者との強い絆と大きなネットワークを持っていることが強みになる時代が、必ずやって来ます。孤軍奮闘するのではなく団結力を高めることのほうが、絶対に有利になるはずなのです。
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