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自分の非を認める勇気を持とう問われるコーチング力(2/2 ページ)

組織において、リーダーと部下の間で考え方のずれが生じ、トラブルになることがよくある。リーダー自身に非があるのであれば、それを素直に認めて謝る姿勢が肝要だ。

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リーダーの行動はすべて命令になってしまう

 世界的大企業の経営者80人以上をコーチした経験を持つエグゼクティブコーチングの第一人者、マーシャル・ゴールドスミス氏は、昨年日本で行ったセミナーで、イギリスに本社を置く大手製薬会社GlaxoSmithKlineのJ.P.ガニエール前CEO(最高経営責任者)が学んだ次のような教訓を紹介した。

 この巨大な企業のCEOとして、リーダーシップについて何を学んだかを彼に聞いたとき、彼は「とても厳しい教訓を得ました。わたしの提案が優れたものであれば命令になり、ばかげたものであっても命令になります。命令になることを望んだら命令になり、命令になることを望まなくても、命令になるのです。わたしが発する提案は、いずれにしても命令になるのです」と答えた。

 この教訓を踏まえ、ゴールドスミス氏は、リーダーは発言する前に次の行動をとるべきだと述べた。


1. 深呼吸をする

2. 今から自分が言おうとしていることは正しいかを考える

3. 2の答えが「YES」なら、それは本当に言う価値のあることかを考える


 中でも、大事なのは3だ。「言う価値があるか」と考えれば、相手がどう感じるかを意識せずにはいられないからだ。正しくても価値のないことは言わない。そのことを肝に銘じて、実践してみて欲しい。

非を認め謝罪することを忘れるな

時として、自分の行動や施策が間違っていることに、後になって気付くこともある。その場合には、ただちに軌道修正することだ。その際は、いきなり別の計画の実行を指示したりするのではなく、まずは自分の非を率直に認め、謝罪することを忘れてはならない。

これを行わずに方向転換を図ると、メンバーに対して気分や思いつきで仕事をしているような印象を与え、不満や不信感を増幅させてしまう。その結果、リーダーとメンバーの溝を修復できないほど大きなものにしてしまう危険性がある。自分の非を認め、それをメンバーに伝えるという能力は、リーダーに必要な資質の一つだと思う。

どんなリーダーでも、自分の考えと現場の考えが食い違う事態に直面することは少なからずあるはずだ。決して弱気にならず、上記のポイントを参考にして、自分に自信を持って行動して欲しい。


「問われるコーチング力」バックナンバーはこちら



プロフィール

細川馨(ほそかわ かおる)

ビジネスコーチ株式会社代表取締役

外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。



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