ゴルフダイジェスト・オンライン 大日健COO:【対談連載】石黒不二代の「ビジネス革新のヒントをつかめ」(3/3 ページ)
ヨーゼフ・シュンペーターが提唱する「企業家による不断のイノベーション」を挙げるまでもなく、経済発展のためには企業の永続的なビジネスイノベーションが不可欠である。本連載では、ネットイヤーグループの石黒不二代CEOが先進企業のビジネスリーダー、有識者などからビジネス革新の勘所を引き出す。
世界に制覇の野望
冒頭に申し上げた世界を変えるビジネスというのは、GDOのマーケティングノウハウをもってすれば不可能ではないように思います。マーケティング先進国の米国にもGDOのようなゴルフの総合サービスというビジネスモデルは存在していません。GDOのような決め細やかなマーケティングを実施している企業もこの業界にはありません。日本のゴルフは約2兆円産業であるのに対し、米国は約8兆円産業なのです。ゴルフのカジュアルさやオープン性を考えると、米国市場の三角形の底辺は大きいとGDO代表の石坂さんも大日さんも感じています。
そのためには、表向きは物販中心であるGDOは、現存のマーケティング能力に満足せず、さらなるマーケティングカンパニーになることを目指し、ビジネス構造を変えることが次の目標となります。
わたしの夢も、「日本の技術を世界に」です。しかし、ITがハードからソフトに、そしてサービスに移行する中で、日本のインターネットビジネスはまるで米国の模倣ばかり。世界に飛躍する可能性をGDOに感じたのは、嬉しい発見でした。
著者プロフィール
石黒不二代(いしぐろ ふじよ)
ネットイヤーグループ株式会社代表取締役社長 兼 CEO
ブラザー工業、外資系企業を経て、スタンフォード大学にてMBA取得。シリコンバレーにてハイテク系コンサルティング会社を設立、日米間の技術移転などに従事。2000年よりネットイヤーグループ代表取締役として、大企業を中心に、事業の本質的な課題を解決するためWebを中核に据えたマーケティングを支援し独自のブランドを確立。日経情報ストラテジー連載コラム「石黒不二代のCIOは眠れない」など著書や寄稿多数。経済産業省 IT経営戦略会議委員に就任。
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