中国の自動車生産が世界一へ:中国ビジネス最前線
初めて中国の自動車生産台数が1000万台を超え、日本を抜き世界1位になった。規模を生かした製品の高度化にも弾みがつく見通し。
▽第3四半期実質成長8.9%に
中国国家統計局は10月22日、第3四半期(7〜9月期)の国内総生産(GDP)が実質で前年同期に比べて8.9%増えたと発表した。4〜6月期の7.9%から伸び率が拡大した。
四半期ベースの成長率が前期を上回ったのは2期連続で、大規模な公共投資を柱とする4兆元の景気刺激策や金融緩和の効果で、中国経済は回復傾向が鮮明になりつつある。1〜9月の成長率は前年同期比で7.7%だった。
中国のGDPは世界的な金融・経済危機の影響で2008年秋から急減速し、今年1〜3月期には四半期ベースの統計をさか上れる1992年以降で最も低い6.1%まで落ち込んだが、その後は次第に回復傾向が鮮明になってきている。
▽中国の自動車生産が世界一へ
中国自動車メーカーの業界団体である中国汽車工業協会は10月20日、2009年の自動車生産台数が1000万台を突破したと発表した。中国が年1000万台を超えるのは初めて。
昨年世界1位だった日本は輸出低迷で落ち込んでおり、中国が販売とともに生産でも今年1位となるのは確実。部品などの関連産業の集積も進んでおり、規模を生かした製品の高度化にも弾みがつきそうだ。
中国の1〜9月の国内生産台数は前年同期比32.0%増の961万台。中国の自動車生産台数は2008年に米国を抜き、日本に次ぐ世界2位に浮上していた。
部品メーカーや鋼板などを供給する素材メーカーも育ち、エンジン部品の錦州万得工業集団などは世界自動車大手の大半に部品を供給し、鉄鋼大手は自動車用鋼板の開発に力を入れている。中国機械工業連合会によると、オートバイを含めた自動車産業の収入は2008年約3兆元で、周辺産業も含めると雇用者数は3000万人を超えている。
▽中国市場、「生存型」から「発展型」
中央財経大学と人民出版社は「中国の道と中国モデル理論シンポジウム」を共同開催し、「発展改革青書」を発表した。同報告書によると、中国はすでに、「生存型」の段階から「発展型」の段階へと転換している。
同報告書によると、過去の発展モデルは「生存型」のものであり、貧しく後れた状態をできるだけ早く脱却するために、物質的財産の増加を過度に重視し、経済・社会の全面的で調和の取れた発展を無視するものでもあった。このため、「生存型」の発展モデルには、成長を重んじて発展を軽んじるという早期の工業文明の特徴が現れ、目先の利益に目を奪われたり、物質的な財産だけを基本としたりするような「成長のための成長」といった傾向が見られた。
中国はすでに、「生存型」の段階から「発展型」の段階へと急速な変化を遂げた。金融危機の影響はこの圧力をさらに高めた。中国が今後、産業グレードアップ・財産分配・制度などで実質的な変化を実現できるか、経済発展による一般市民への利益を高め、一般市民にさらなる繁栄を享受させることができるかは、今後30年の中国の改革発展に対する戦略的な試練となる。
※この記事は内田総研グループ発行のメールマガジン『士業・net』の一部を加筆・修正し、許可を得て転載しています。
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