いつでもいい人でいようとする上司:ビジネスマンの悩み相談室(2/2 ページ)
周りを見渡すと、人当たりが良く優しいのだが、誰に対してもいい人でいようとする人はいないだろうか。
スペシャリストもリーダー
スペシャリストだとリーダーになれないということもいわれるが、私はスペシャリストもリーダーになれると考えている。
イチローはその姿勢を通して、リーダーシップを十二分に発揮している。自分自身が成績を残し、率先して行動し、周りに模範を示す――専門的な知識を持ち、現場を率いていく、そのような現場のプロフェッショナルもリーダーたりえると考えている。
私がよく行く和食店の料理長は真のプロフェッショナルであるとともに、リーダーだと感じる。食材などの素材にこだわり、料理に真剣に取り組み、その姿勢を通して、現場に規律が生まれている。周りの人は彼の姿を見て多くのことを学び、それによって彼ら自身が成長しているのである。
目標を持つ
さらにリーダーに必要なこととして付け加えたいのが、当たり前ではあるが、目標を持つことである。目標を持ってこだわれば必ず成功する。
今あなたは何か目標を持っているだろうか。
何かをやろうとする場合、うまくいかない人は、うまくいかない理由を並べる、もしくは最初からダメだとあきらめてやらないか、横から解説し始める、解説者になる。当たり前のようだが、まずは目標を持つことで、心も体も能力を引き出せるのである。
人は日々のことにどうしても追われてしまうものである。しかし、そればかりをしていたら、進んでいくことはできない。目標を持ち、それをどうしたら達成できるのか、徹底的に考え抜く、そしてそれを実行する。
私自身は目標を立てて、達成しなかったことはない。目標を立てた時点で、どう実行していったらいいのかは考え済みで、あとは実行のみであるからである。
また、私は目標を立てたら、すぐに実行し、できるだけ早く達成するように心がけている。半期の目標であれば3カ月で、年間の目標であれば半年で達成するのである。期限ぎりぎりに達成するのではなく、前倒しで達成する。そうやって早めに達成しておけば、次期の目標や戦略への着手が早くなる。
目標は高ければ高いほど良い。それによって多様な戦略が見つかる。そして目標を持ったならば、「しなければならない」と自分にコミットメントを課す。そして、目標をブラッシュアップしておくことが大切である。
◆リーダーに必要な素養
最後にリーダーに必要な要素をまとめてみた。
- 常に会社や自分自身に、危機感や問題意識を持っている
- 客観的に会社や自分自身を眺められる視点を持っている
- 自分の思いを明確に相手に伝えることができる
- 過去の失敗から得た気づきを部下に発信している
- 頻繁に部下や周囲とコミュニケーションを交わしている
- 成功を組織の力でもぎとった経験がある
- 会社全体が見えている
- 周囲に自分に意見するメンバーを配置している
- 環境の変化を敏感にキャッチしている
- 現場と会社全体の両方をバランスよく見ている
これらの視点を改めて持ち、「いい人」で終わらないリーダーになってくれることを願っている。
著者プロフィール
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。「ビジネスマンの悩み相談室」は電子書籍でも配信中。「自分は頑張っていると主張する部下に悩む上司」「ぬるい部下に悩む上司」「若い人には横から目線で共感する」(各250円)
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