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危機のときこそリーダーの出番未曾有の危機に直面したリーダーに求められること(2/2 ページ)

リーダーは危機のときこそ求められる存在であり、自身の役割を果たすべき。

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すべて自分でやろうとするな

 リーダーにひとつ伝えたいことがある。

 それは、「自分一人ですべてを解決しようとするな」ということである。リーダーのすべきことは、専門家を集め、彼らの英知を集め、状況を打開するための道筋を立て、それを実行に移すことである。多くの人の力を借りていいのである。

 今回の大震災の場合、行政が行うのか、自衛隊や消防庁に依頼するのか、早い段階でその道筋を立てる必要があったかもしれない。

 危機が起きたら大まかに状況を把握し、実務の専門家をすぐに集めて改善策、戦略を出させ、それを実行させる。誰が責任者になり、誰を応援して、どういう救済を行うのか――このような道筋をつけてあげる必要があるだろう。

 また、状況が刻一刻と変化する中で、戦略を変更することも出てくる。この震災で言うならば、被災されている人をケアするチームと、生存者を捜索するチーム。大変気の毒ではあるが、どこかの段階で、このチームの比率も変えていかなければいけない。全体を把握しながら、その指示をリーダーは出していくのである。

 企業で危機が起きた場合もリーダーに求められることはまったく同じである。問題が起きたら、まずはすぐに大まかに現状をつかみ、アナウンスする。専門家を集め、問題を解決する打開策を提示し、実行する。これを1日くらいでやる必要があるだろう。

 国家を揺るがすような事態を日本は乗り越えられるだろうか。海外のメディアでは、日本を応援し、賞賛するニュースも多いと聞く。これだけの天然災害にあったにもかかわらず、物資を求めて順番を持って並び、助け合い、強盗や略奪もほとんど起きない。復活できる力を国民は持っていると思う。

 ただし、必要なのは、リーダーである。これまで話したことを実行し、この国が進むべき道筋、ビジョンを示すことができる、真のリーダーが求められている。

 現場にはすばらしいリーダーがたくさんいるとわたしは思っている。人には知られていない、立派なリーダーがいる。だから、日本は復興していくはずだと確信している。組織を、日本を変えていく、真の国のリーダーを心の底から望んでいる。

 次回は未曾有の危機に直面したし際に、リーダーがどのようにコミュニケーションをすべきかについて話したい。


著者プロフィール

細川馨(ほそかわ かおる)

ビジネスコーチ株式会社代表取締役

外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。



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