実務をして部下から仕事を奪う上司:ビジネスマンの悩み相談室(2/2 ページ)
リーダーの仕事とは何だろうか。それは課題解決であり、他部門を巻き込むことであり、ビジョンを描いて人を引っ張り、育成することである。チームで働くためにはリーダーが欠かせない。リーダーが自分の実務のことばかり考えていたらチームはどうなるだろうか。
80対20の法則
なお、ひとつ紹介したいことがある。「80対20の法則」を知っているだろうか。1897年にイタリアの経済学者ヴィルフレード・パレート氏は、人口に占める比率と富の間には数理的な関係の方式があり、分布に一定の割合で不均衡が存在している。この不均衡が社会で起こる出来事を数学的にパターン化でき、その割合が80対20であることを発見した。この80対20の法則をリーダーにあてはめると次のようになるだろうか。
1、80は誰にでもできること
2、20は自分にしかできないこと
仕事は重要度と緊急度という観点から考えることができるが、どうしても、重要度と緊急度の高いことばかりに集中してしまう傾向がある。もちろんとても大切なことではあるが、リーダーがそればかりをしていると、実務に追われてしまうことになる。
緊急度は低いが、重要度の高い仕事にリーダーは注力すべきではないだろうか。部下たちはどうしても緊急度も重要度も高い日々の仕事に追われることが多い。リーダーこそがこの仕事をすべきである。
緊急度が低いが、重要度の高い仕事としては、以下のようなものがあるだろう。
- 顧客の選定
- 戦術の構築
- 戦術の実行および支援
- 顧客ニーズの変化への対応策
- 目標達成を阻害する課題の解決
- 人材の選抜と教育
- ビジネスの専門知識のレベルアップ
あなたは何のリーダーだろうか。自分の職務を洗い直し、改めて考えてみてほしい。
著者プロフィール
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。「ビジネスマンの悩み相談室」は電子書籍でも配信中。「自分は頑張っていると主張する部下に悩む上司」「ぬるい部下に悩む上司」「若い人には横から目線で共感する」(各250円)
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