ロールモデルがいない:ビジネスマンの悩み相談室(2/2 ページ)
高校生に対して行われたある調査で10人中7人は「あこがれている人がいない」と答えたという。社会人でも「ロールモデルがいない」と嘆く人が多いが、1人で完璧な人などいない。どこかまねたいと思う部分があったらまずそこから始めてみよう。
ロールモデルを探すには?
ロールモデルがいない場合、どうしたらロールモデルが見つかるだろうか。実際にどのように探せばいいだろうか。次の2つの方法がある。
1、自分のセンサーを働かせる
2、街を歩いたり、本を読んだりする
第1に自分のセンサーを働かせることが大切である。ロールモデルというと、何かすごい人のように思うかもしれないが、実は周りに目を向けて少し注意深く見てみると、案外近くにいたりする。
仕事上でのロールモデルになる人は、やはり成果を残している人がいいかもしれない。結果を出していたり、社内で認められている人がどんなことをしているのか、観察してみてほしい。自分がまねしたいという人が見つかったら、その人をロールモデルにする。もしすぐに話せる人ならば、仕事の秘訣や普段やっていることを聞いてみてもいいだろう。
しかし、そこで気をつけることは、ロールモデルと言っても1人ですべて完ぺきという人は少ないはずである。自分がまねたいと思えるもの、その人の強みだと思えるものだけをまねればよい。弱みに目を向けたり、あらさがしをし過ぎると、人の成長は止まってしまう。
第2には、街を歩いたり、本を読んだりすることを勧める。1番目と少し矛盾するが、ロールモデルは自分のすぐ近くにいなくても構わない。有名人でも構わないし、尊敬する経営者でも構わない。前述したように、綾小路きみまろさんはわたしのファシリテーションのロールモデルである。
街を歩いて気になる人、本や雑誌を読んだり、テレビで見て気になった人。そんな人もロールモデルになるのである。
ロールモデルをまねて学ぶ
ロールモデルを見つけたらどうするか。
何よりも、ロールモデルのこれがいいと思えることをまねてみることである。よく知られているが、「学ぶ」という言葉は「まねる」という言葉からきていると言われる。まねし続けることで、それが自然と自分の身になり、いつしか自分のものになっている。
何度も言うが、その人の弱みに目を向ける必要はない。弱みばかりを見ていたら何も身につかないし、前進しない。ロールモデルと思う人の強みに目を向け、それをまねればいいのである。
小説家の吉川英治氏は、「我以外皆我師」という言葉を残している。すべての人から学ぶことがあるということである。学ぼうとする心や向上心があれば、様々なことから学び、成長していくことができるのである。
実は、周りにいる、ありとあらゆる人がロールモデルになるのではないだろうか。
もし今ロールモデルがいないという人はセンサーを働かせ、話を聞いたり、本を読んだりして、ぜひロールモデルを探してほしい。また、「ロールモデルがいない」と言う部下がいたら、周りに気になる人がいないか、聞いてみることを勧める。ロールモデルがすでにいるという人は、その人のこれがすごいと思える部分をまずはまねてみてほしい。
ロールモデルを持つことで、目指す目標がはっきりし、仕事へのやる気も増し、その人のようになりたいと努力するようになる。結果として成果も残せるようになるはずである。
著者プロフィール
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。「ビジネスマンの悩み相談室」は電子書籍でも配信中。「自分は頑張っていると主張する部下に悩む上司」「ぬるい部下に悩む上司」「若い人には横から目線で共感する」(各250円)
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