Gartner Column
企業のグローバル化について考える――その時CIOの決断とは(1/2 ページ)
新年最初のこの時期に、皆さんに考えてもらうためにちょっとした問題提起をしたいと考え今回の題材を「グローバル化」としてみました。企業やビジネスのグローバル化というのは定義そのものが難しいのですが、少なくとも国内で生産したものを輸出する、海外工場で生産したものを国内で販売するなど、昨今の「グローバル化」は、そのような単純な仕組みを指しているものではないことは気付いているかと思います。
では、どのような状態がグローバル化なのでしょうか。それは、完全に国境を越えたビジネス体制があるということに尽きると思います。支社や支店、工場など、場合によっては本社部門の機能でさえも、それぞれの国や地域に分散しており、それらが国境を越えたボーダレスの形で有機的に繋がって企業活動を営んでいる状態のことを指します。
グローバル化について考えてみる
実は、ある企業からこんな話を聞きました。その企業は、今まで日本と英国でビジネスを営んできており、米国と英国を除く欧州と新興国への進出が課題でした。そんな折、ドイツに本社があるほぼ同業の企業を買収することに成功しました。このドイツに本社がある企業は、欧州と新興国に絶大な販売網を持っており、国内のその企業から見れば良いディールでした。
その直後に、米国国内で、やはり絶大なる販売網を持つ企業の買収にも成功しました。あまりに矢継ぎ早だったので、話を聞いたときは疑ったりもしましたが新聞を見るとどうやら本当のようです。ちなみに、ドイツの会社も米国の会社もそれぞれ独自の製品を生産していますし、おおむね日本で生産している領域の製品とは重複しないことも分かっていました。
そのある日本企業のCIOから相談を持ち掛けられました。グローバル営業本部の機能をドイツに、グローバルIT本部の機能を米国に移してはどうか?と経営トップ達が持ち掛けてきたというのです。わたしへの相談というのは「米国にグローバルIT本部を移したくないのだが、トップをどのように説得すれば良いのか?」でした。
実は、この日本企業が買収した米国企業のCIOはガートナー エグゼクティブ プログラムでは、ちょっとした有名人で、ガートナーのCIO向けリサーチレポートのケーススタディにもたびたび登場する名CIOの一人だったのです。それを知っていて、その企業を買収しようと思ったかどうかは定かではありませんが、どうやら日本企業の経営トップが、米国のCIOと話し、グローバルITを任せたいと確信したらしいのです。
日本のCIOがトップからその相談を持ち掛けられてから1週間程度で、わたしがこの話を聞いたので当人としても困惑と「買収元のわたしがグローバルCIOじゃないのか?」という気持ちもあったでしょう。とにもかくにも、米国に主導権を取られるのが嫌だと言うのです。
ちなみに、日本の営業本部はどうか? と聞くと、当然のように、ドイツに本部が移ることを大反対しているといいます。日本のCIOがいうには、当社は製品開発力、生産力にも自負があるが、競合他社に圧倒的な差を付けているのは、販売力だというのです。
国内の販売網自体は、競合他社と大差が無いらしいのですが、ブランド構築力やセールスマンの活動が伝統的に他社を圧倒しているのだとか。そんな優秀な営業本部をドイツに移すというのは、経営トップとしても勇気ある決断だったのでしょう。事実この日本企業の社長は営業畑の出身で、いわゆる花形コースからの出世です。その彼がグローバル営業本部をドイツに移したいというのはすごい判断です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Gartner Column
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「50 TOP PIZZA WORLD 2026」に東京のピッツェリア2軒がランクイン
-
2
沖電気と日立製作所がATM合弁発足 キャッシュレス普及で利用減、効率化狙う
-
3
「価値の安売り」から脱却する「誰に・何を・いくらで」の価格設計
-
4
鉄道高架下に「大人の秘密基地」、都心の残された一等地の活用に各社も本腰
-
5
スーパーホテルがAI経理代行に参入へ 自社ノウハウ外販、目指すは「稼げる経理」
-
6
事業を止めない「究極のバランサー」であれ - Visional 若井氏
-
7
なぜコーポレートITはコスト削減率が低いのか――既存産業を再定義することでDXを推進
-
8
Agentic AI時代、企業はいかにリスクをコントロールすべきか――メルカリのAIガバナンスとガードレール実装
-
9
「CISOの役割は、緩める責任を負うこと」-freee CISO 茂岩氏
-
10
第54回:エグゼクティブこそ今観たいSF4選。『攻殻機動隊』『PLUTO』からみるAI時代の「人間の仕事」
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー