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顧客の声をサービスに反映し続けることで進化する――スターウッド ホテル&リゾート石黒不二代の「ビジネス革新のヒントをつかめ」(2/2 ページ)

常に顧客の高い要求に応えなくてはならないホテル業界で、斬新なサービスを提供し続けることで顧客の心をつかむ。

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 SPGには、エントリーレベルのプリファードを含む3種類の会員資格レベルがあり、優良会員であるゴールド(1暦年で10−24滞在または25−49泊の宿泊実績)やプラチナ(1暦年で25滞在または50泊以上の宿泊実績)における会員の実績が飛躍的にのびています。

 ポイントを提供するロイヤルティプログラムは、多くのホテルでも実施されていますが、スターウッドのSPGはポイントが使いやすい点と、他のホテルにない特典の豊富さが特徴です。特典除外日なしの無料宿泊特典、ルームアップグレード、ポイントと現金を組み合わせて宿泊できるキャッシュ&ポイント、24時間チェックイン、チェックイン時のスイートアップグレード、永久会員資格などを次々と提供してきました。

 特典除外日なしの無料宿泊特典を設けたときは、ホテル業界の常識を覆したといわれました。さらに、SPGのポイントは、ホテルだけでなく、航空券、イベントなど、まさに第3の貨幣の役割をしています。

デジタル化がパーソナリゼーションを加速する

 ホテル業界も劇的な変化に対応する能力が求められています。なにしろ、以前はハネムーンで海外旅行といえば、旅行代理店経由の対面販売が中心で、行き先もパリ、ロンドン、アメリカならニューヨーク、ロサンジェルスと決まっていたものが、今は行き先の多様化だけではなく、ダイビングがしたい、オーロラが見たいといった個別ニーズにも対応が迫られます。インターネットの発達で、個人からの予約ニーズや法人の宴会場予約ニーズが増えています。

 スターウッドでは、国際会議や展示会、研修旅行などを国内外から誘致するビジネスを強化していて、全世界のグループホテルの宴会場等の空き室状況や見積もりなどをリアルタイムで閲覧と予約ができるオンラインシステムを導入しました。

 さらに近い将来、iPhoneをはじめとするスマートフォンが客室の鍵の代わりになるそうで、すでにiPhoneではレストラン情報やSPGポイントの確認、さらに、ホテルまでの公共交通機関、車でのルートや距離が分かるようになっています。

 ホテルといえば、お客さまとのタッチポイントはチェックインとチェックアウトのみ、スターウッドでは、そのタッチポイントの前後も滞在期間中も、お客様と触れ合うことをブランディングと考えているようです。まさに、デジタルを活用したパーソナルサービスが進行中です。

著者プロフィール

石黒不二代(いしぐろ ふじよ)

ネットイヤーグループ株式会社代表取締役社長 兼 CEO

ブラザー工業、外資系企業を経て、スタンフォード大学にてMBA取得。シリコンバレーにてハイテク系コンサルティング会社を設立、日米間の技術移転などに従事。2000年よりネットイヤーグループ代表取締役として、大企業を中心に、事業の本質的な課題を解決するためWebを中核に据えたマーケティングを支援し独自のブランドを確立。日経情報ストラテジー連載コラム「石黒不二代のCIOは眠れない」など著書や寄稿多数。経済産業省 IT経営戦略会議委員に就任。


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