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あなたはボスかリーダーかグローバル時代を生き抜くスマートリーダー術(2/2 ページ)

部下を怒鳴り煙たがられる。厳しくも適切なアドバイスで信頼を得る。その違いは何か。

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あなたは何をしたいのか

 そのアメリカ企業のリーダーがよくする質問があるそうです。「あなたは何がしたいですか」

 ともすると、「これがわたしがあなたにやってほしいことです」とか「これがわたしがやりたいことです」と言いがちです。しかし、成果を残すリーダーはこのように聞くのです。

 自分で問題を見つけ、解決策としてどんなことがあり得るか、自分で考えさせる。リーダーはそれに対してフィードバックをすればいいのです。リーダーが答えを言ってしまっては部下は育たない。自分で考え、自分の意見を持つ。その重要性を認識しているのです。

 以前話しましたが、わたしが会社を経営して少し経ったころ、弊社を手伝ってくれる人がいました。彼女は快活で元気だったのですが、わたしがこれをやりたい、あれをやりたいということが先行し、指示ばかりを出していました。会社の理念や会社が目指している方向性について説明せず、彼女の意志を尊重していませんでした。結果として、彼女は「自分がやりたいことは自分で書くことです」と言い辞めることに。彼女がどう考えるかを聞き、何をしたらいいのか意見を聞く耳を持っていませんでした。

 現在はわたし自身がいろいろな経験を通して学び、「何をしたいですか」「どうしたらいいと思いますか」「何が問題だと思いますか」と意識的に聞くようにしています。聞くことで考えてくれるようになり、逆にわたしがすべてを決めなくても、スタッフたちが「こんなことをできるのではないですか?」と提案をしてくれるようにもなりました。

模範になっているか

 リーダーに必要なことについてある人は「Example」と言います。つまり、模範を示すことです。リーダーは人の手を引いて、もしくは人の前を歩くと先に言いましたが、それに部下がついてくるためには、模範となる必要があります。

 自分が部下にこうしてほしいと思うのであれば、自らがそのような行動をとる。こんな行動をとってほしくないと思うのであれば、そういう行動をとらない。自分がしないことを部下がするわけはなく、逆にそのように行動していたら、それを見てまねるはずです。

 起業再生を手がけている人や銀行で融資業務をしていた人に「組織の成長はどこを見たら分かりますか?」と聞いたことがあります。いずれも同じ答えが返ってきました。「リーダーを見ればすぐに分かる」

 組織はリーダーの器以上に大きくなることはありません。ボスになり、自分の思う通りに組織を動かそうとすると、組織の成長はそこで止まってしまいます。リーダーとして模範を示し、手をとって、もしくは前を歩いて、人を導いていく――そんなリーダーが今求められています。

著者プロフィール

林正愛(りんじょんえ)

BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、ファイナンシャルプランナー、英検1級、TOEIC955点。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。British Airwaysに入社し、客室乗務員として成田―ロンドン間を乗務。その後中央経済社にて経営、会計関連の書籍の編集に携わった後、日本経済新聞社に入社し、経営、経済関連の書籍の企画および編集を行う。2006年4月に退職し、「眠っている才能を呼び覚ませ」というミッションのもと、優秀な人たちが活躍する場を提供したいという思いから、同年10月にアマプロ株式会社を設立。仕事を通じて培ってきたコミュニケーション力や編集力を生かして、企業の情報発信をサポートするために奔走している。企業の経営層とのインタビューを数多くこなし、その数は100名以上に達する。その中からリーダーの行動変革に興味を持ち、アメリカでエグセクティブコーチングの第一人者で、GEやフォードなどの社長のコーチングを行ったマーシャル・ゴールドスミス氏にコーチングを学ぶ。現在は経営層のコーチングも行う。コミュニケーションのプロフェッショナルが集まった国際団体、IABC(International Association of Business Communicators) のジャパンチャプターの理事も務める。2012年4月からは慶応義塾大学メディアデザイン研究科で学んでいる。著書『紅茶にあう美味しいイギリスのお菓子』(2000年、アスペクト)。2児の母。


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