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IT投資の効果を実感するには首尾一貫した取り組みが重要NTT DATA Innovation Conference 2013リポート(2/2 ページ)

IT投資効果が実感できる正のスパイラルへの移行のためには、システムやプロセス、人、組織など首尾一貫した取り組みの実現と、成長のための新規IT投資拡大が必要。

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 もう1つの要因として、米国に比べてIT部門の体制の弱さを指摘する声もある。米国企業では、IT戦略やシステム企画などの上流工程において、ユーザー側が主導権を握っていることが多い。一方、日本企業では、上流工程にITベンダーが関わっていることが多く、この部分の体制の弱さが首尾一貫した取り組みを困難にしている。

 萩野氏は、「首尾一貫した取り組みは、社内にとどまらず、国内展開やパートナー展開においても同様。グローバル企業は、グローバル展開においても推進しなければならない」と話す。

 グローバルにビジネスを展開しているある製造業のサプライチェーン管理では、業務ルールやコード体系が拠点ごとに不一致のため、販売機会の損失や不適正な在庫、硬直的な生産計画などの課題を抱えていた。

 そこで、システム統合はもちろん、業務ルールやコード体系を統一し、首尾一貫した取り組みを推進することで、グローバルでの迅速な需給調整を実現し、機会損失を低減し、数十億円の在庫削減を実現している。

世界の知恵から学ぶ

 企業に求められる取り組みの横軸に、標準業務プロセスの策定や標準システムの実装などの「首尾一貫した取り組み」の進展度合い、縦軸に、国レベルやリージョンレベル、グローバルレベルなどの「地域的な展開の進展度合い」を定義した場合、先進的なグローバル企業は、例外なく標準ビジネスプロセスの実践とグローバルレベルが交わる右上を目指す、あるいは右上に達している。

 先進的企業が右上を目指すのは、グローバルレベルでの一貫した迅速な意志決定が必要であり、グローバルでIT統制を徹底する必要があるためだ。またグローバルレベルでのスケールメリットの享受や環境激変時の迅速な方針変更なども要因のひとつだ。

 具体的な取り組みとして、まずグローバルIT統括組織を中核に、ITマネージメント標準ルールを策定し、それを拠点に展開、順守する、そしてまた標準ルールを策定するというPDC(Plan、Do、Check)ライフサイクルを実現する必要がある。

 「このPDCライフサイクルを運用するには強力なリーダーシップと粘り強く運用を継続していくことが重要になる。IT投資効果の実感が薄い負のスパイラルから、IT投資の効果が実感される正のスパイラルに移行するためには、システムやプロセス、人、組織などに対する首尾一貫した取り組みを実現し、企業の成長につながる新規IT投資を拡大しなければならない」(萩野氏)

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