ヒト、モノ、世界をつなぐテクノロジーとして重要になるクラウド:ITmedia エグゼクティブセミナーリポート(2/2 ページ)
グローバルで戦うためのIT戦略としてクラウド活用が注目されている。ITを駆使した新しいビジネスをシステム部門がリードするためには、新たなチャレンジが必要。
WAN環境のアプリケーションパフォーマンスを最適化するリバーベッド
企業のITプラットフォームのパフォーマンス監視および管理から、パフォーマンスの向上や高速化、最適化までのソリューションを提供するリバーベッドテクノロジー。ブランチ拠点から、パブリッククラウド、データセンター/パブリッククラウドまで、パフォーマンスに関する問題をトータルに解決できるソリューションを提供している。
リバーヘッドテクノロジー グローバルチャネルSPSE テクニカルアライアンスディベロップメントマネージャーの中島幹太氏は、「仮想化やビッグデータ、BYODなど、新しいテクノロジーが登場しているが、重要なのは、安定性や柔軟性、低コスト、高いパフォーマンスだ。いつでも、どこでも、どんなデバイスでも、快適に仕事ができる環境が求められている」と話す。
このとき忘れてはならないのが「距離」と「場所」の問題である。中島氏は、「LANの通信は高速で使いやすくコストも安い。一方、WANの通信は遅く、価格も高く、利用できないこともある。距離と場所による障壁を競争的なアドバンテージに変えるコンセプトが"ロケーション・インディペンデント・コンピューティング"である」と言う。
ロケーション・インディペンデント・コンピューティングにより、WANを中心としたSaaSやPaaS、IaaS、ホスティッドサービス、プライベート/パブリッククラウド、モバイルなどのパフォーマンスの最適化・高速化が可能。例えば、SaaS環境にSteelheadを導入することで、Office365のパフォーマンスを最適化することができる。
パフォーマンスの最適化・高速化を実現するテクノロジーが、リバーベッドが独自に開発した「AppFlowエンジン」である。AppFlowエンジンを利用することで、アプリケーションを識別できるだけでなく、アプリケーションの特性を理解し、最適なパス(QoP:Quality of Path)を選択可能。600種類以上のアプリケーションに対応できる。
今後の取り組みについて中島氏は、「Steelheadでは、デスクトップ、Windows、Mac、VDIに対応した最適化、高速化ソリューションを提供してきた。今後は、Steelhead Mobileで、Android OSやiOSのサポートを計画している」と話している。
日本発グローバルを実現した勝ち組企業に学ぶ、究極の次世代経営モデルとは?
「1990年〜2010年、日本は"失われた20年"と言われる不況の時代であった。しかしその期間にも、成長している企業はある。その企業がいかに成長したのかを学ぶ方が、失われた20年を嘆くよりも有効と考えた」と話すのは、特別講演に登場した一橋大学 大学院国際企業戦略研究科教授の名和高司氏である。
この研究をもとに、名和氏が執筆したのが『失われた20年の勝ち組企業 100社の成功法則 「X」経営の時代』である。勝ち組企業100社は、1990年時点で売上1000億円以上の上場企業で、売上、利益、株価の3つがもっとも成長した100社である。100社のうち78%が製造業で、22%がサービス業である。
勝ち組企業100社の経営モデルの基本構造は、ピラミッド構造の上から「経営力」、次に「事業モデル構築力」と「市場開発力」、そして「オペレーション力」の4つで構成される。 この経営モデルに勝ち組企業100社を当てはめると、日本(Japan)の得意なオペレーション力で成功する「タイプJ」、オペレーション力と経営力をダブル(W)で持っている「タイプW」、現場のオペレーション力を生かしながら、事業モデル構築力と市場開発力のかけ算で価値を創造する「タイプX」、4つの経営モデルのすべてを駆使する「タイプZ」に分類できる。
タイプXは日本の本質を生かしやすい経営モデルである。この実践で勝ち組企業100社の5位に選ばれたキーエンスは、スマートリーン、つまり「良いものを安く」を徹底した企業。センサーに特化し、付加価値の高い製品を提供することで価格を維持する。自社で設計からモックアップ、金型作成までを行い量産体制を確立した後は、アウトソーシングを利用して製造コストを削減する。他社の参入でコモディティ化したら、その分野から撤退することも特長。他社にはまねできない経営モデルがキーエンスの強みである
名和氏は、「X経営のXは、事業モデル構築力×市場開発力が本質であるが、さらに実現に近付くための重要な3つのポイントとして、既存事業をずらす"eXtension(拡業)"、同業他社ではなく異業種と協業する"Cross(X)coupling(異結合)"、現地に出向いてスキルを輸出する"Trans(X)national(和橋)"が挙げられる。日本の強さを生かし、新たな成長につなげてほしい」と話し講演を終えた。
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