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虫の目、鳥の目、歴史の目で見る世界情勢――5年後だけでなく30年後も見据えるNTT DATA Innovation Conference 2016リポート(2/2 ページ)

海外で活躍するためには何が必要か、何を見習うべきなのか。ジャーナリストの嶌信彦氏が、これまでの取材で得た知識や経験を「鳥、虫、歴史の目」を通して話した

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 イランとサウジアラビアの問題も、世界に大きな影響を及ぼすことになる。さらに米国と中国も、太平洋の統治をめぐり緊張が高まっている。その中国は、国内の問題や経済の問題、軍の改革問題など、さまざまな国内問題も抱えている。中国は今後も要注意だが、米国も決して安泰ではない。どこが世界の中心になるのかが目が離せない状況である。

 日本も2020年のオリンピックに向け、競技場やロゴマークをはじめ、問題が山積である。どの国も世界全体を統治できる力を持っていないのが、世界を不安定にさせている要因といえる。こうした背景のもと企業は、3年後、5年後の短期的計画だけでなく、20年後、30年後の会社や日本、世界がどうなっているのかも考えておくことが重要になる。

日本人捕虜が建てたオペラハウス

 昨年、私は第2次世界大戦後、シベリアに抑留された日本人捕虜が、当時ソ連領であったウズベキスタンのタシケントに派遣され、「ナボイ劇場」を完成させて帰国するまでのノンフィクション「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」を上梓した。

 延べ457人の日本人捕虜の誇りと日本の「ものづくり」の技術力を生かして建築したナボイ劇場は、1966年4月に発生した大地震でタシケント市が全壊したときにもビクともしなかったことから、いまや旧ソ連の4大オペラハウスのひとつと呼ばれ、ウズベキスタンの誇りとなり、さらに親日の象徴として愛され続けている。

 地上3階、地下1階、1400席の美しいビザンチン建築のオペラハウスは、困難だと思われた期限にも間に合い、日本人に敬意を表するきっかけになった。今では人口も増加し経済成長著しい中央アジア5カ国は、1億人の市場に膨らみつつあり、ロシアから独立した90年代には日本を目標に建国している。日本がなぜモデルの国として考えられたのか。それは敗戦後にウズベキスタンで捕虜となった日本人の働き方、生き方、誇りを失わず地域の人と交流したからだ。

 嶌氏は、「世界のいろいろなところで日本人のすばらしさが称賛されている。困難な状況下においても、団結力があり、正しい判断をし、適切な行動ができる民族であるということを、いまいちど思い出し感じてもらえればありがたい」と締めくくった。

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